保身、野心、策略に信念がつぶされそうになる。ある運送会社社長が大手自動車メーカーのリコール隠しを暴こうと奔走するが、逆風が何度も吹く。見る方も心折れそうになるところから事態が少しずつ動きだす。

 ある快晴の日、走行中のトラックが脱輪。歩道の親子に向かってタイヤは飛び、母親を死なせてしまう。運送会社は整備不良の責任を問われるが、実は各地で類似事故が発生していた。社長は独自に調査するうち、大企業の隠蔽(いんぺい)に気付く。

 前半は「大手」対「中小」の構図に見えるが、異なる立場の誇りが少しずつかみ合い始め、様相が変わっていく。

 池井戸潤による同名小説の映画作品で、実話を元にした物語。巨大企業内のパワーゲームは原作ほどでなくとも生々しい。「痛快」の向こう側に、現実の深い傷がある。(学芸部・松田興平)

 ◆シネマQで上映中