スポーツ選手として一流であることと、法令順守という当たり前の社会常識を欠いていることとの乖(かい)離(り)に驚く。

 違法カジノ店で賭博をした日本バドミントン界の男子エース桃田賢斗選手(21)と、田児賢一選手(26)=ともにNTT東日本=が8日、記者会見し、謝罪した。

 NTT東日本の内部調査では、2014年10月から桃田選手が6回程度、田児選手が60回程度、一度に数万円から数十万円を賭けた。桃田選手は総額50万円、田児選手は総額1千万円負けたという。

 桃田選手は15年の世界選手権の男子シングルスで日本勢初の銅メダルに輝き、世界ランキングが2位に浮上したばかり。リオ五輪でメダル獲得が有望視されていたが、これで出場は絶望的になった。日本バドミントン協会幹部が日本オリンピック委員会(JOC)に「推薦できない」と明言したからだ。当然である。

 田児選手は08年から全日本総合選手権6連覇、12年のロンドン五輪代表だった。

 新旧のエースであるだけに、衝撃は大きい。

 田児選手は会見で認めたように「ギャンブル好き」。田児選手が桃田選手を誘った。2人とも賭博が違法であることを認識しながらやめることができなかった。

 バドミントン部ではほかにOBを含む6人が賭博をしていた。田児選手は部員らから1150万円を借金している。賭博容認の土壌が蔓延(まんえん)していたとしか思えない。監督やスタッフは知らなかったという。NTT東日本には、選手だけでなく、バドミントン部に関わる組織の実態がどうだったのか、徹底的に明るみに出してもらいたい。

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 2人が初めてカジノ店で賭博をしたのは合法的な国に遠征したときだった。

 会見で、「海外で遊び、感覚が麻痺(まひ)した」(田児選手)「日本のカジノに行っても感覚が少しずつおかしくなった」(桃田選手)と答えた。

 スポーツ界で突出している選手は一般的に練習に次ぐ練習で、周りも競技の成績を最優先。社会常識や社会規範が置き去りにされてしまう傾向があるのは事実だろう。

 桃田、田児両選手は反社会勢力との付き合いはなかったと説明したが、出入りしていた東京・錦糸町のカジノ店が摘発され、経営者や指定暴力団幹部らが逮捕されている。暴力団の資金源になっていた可能性が高いのだ。

 同じ経営者が横浜市内で違法カジノ店を開くと、田児選手は再び通いはじめている。

 日本バドミントン協会には厳正な処分を求めたい。

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 プロ野球では読売巨人軍の4選手が野球賭博に関与して無期失格などの処分を受けたばかりである。

 トップに上り詰める選手は子どもたちやファンのあこがれの的だ。内からは甘えとおごり、外からはさまざまな誘惑が近づく。自己を律することが求められる。

 スポーツ界で不祥事が続発し、競技漬けのまま高校・大学を卒業する選手がいることを考えれば、選手の前に、一社会人であることを競技団体は厳しく教育する時である。