第72回日本民藝協会全国大会の開催を記念した工芸展「民藝-その美・技-」(主催・沖縄民藝協会、共催・沖縄タイムス社)が23日から那覇市久茂地のタイムスギャラリーで開かれる。入場無料。27日まで。

工芸展に向け、作品を並べる関係者=22日、那覇市久茂地・タイムスギャラリー

展示された祖父城間栄喜さんの作品に、思いをはせる孫の栄市さん

工芸展に向け、作品を並べる関係者=22日、那覇市久茂地・タイムスギャラリー 展示された祖父城間栄喜さんの作品に、思いをはせる孫の栄市さん

 故金城次郎さん、平良敏子さんら人間国宝の作品や、小橋川仁王さんや城間栄喜さんら名人と呼ばれた物故者、伝統の技を受け継ぐ現代作家が手掛けた染織物や陶器など、沖縄を代表する6分野の工芸美術品100点余を展示。パナリ焼や湧田焼などの古陶や消失した産地の作品も並び、生活に根付く沖縄民芸の魅力を感じることができる。

 同協会の島袋常秀会長(70)は「沖縄の美の原点がある。これほどの規模は初めてで、二度とない機会」と強調。企画したルバース・ミヤヒラ・吟子副会長(68)は「本土とは違う、趣ある沖縄の民芸を紹介したい」と来場を呼び掛けた。

祖父の紅型、次代へ情熱実感 工房継ぐ城間さん

 「城間びんがた工房」16代目の城間栄市さん(40)=那覇市=は、工芸展に出展される祖父栄喜さん(享年84)の作品を見つめ、思いをはせた。紅型復興に尽力した祖父の戦後初期の作品。「伝統工芸を後世に残す」という強い思いと情熱が、何十年たった今もにじみ出ていた。

 家業を継ぐに当たって祖父らの記憶を掘り起こすことが必要だと考え、父親らの戦中戦後の体験を聞いた。そして、祖母ら家族が沖縄戦で命を落としたことを知る。今回、展示会で祖父の作品陳列に携わる。栄市さんは「不思議なタイミング」と目を細めた。

 栄市さんら城間一家は本紙連載「想(うむ)いの系図」に登場した。取材後、今まで沖縄戦の話などしたことがなかった父栄順さん(84)が工房の職人らに昔話を語るようになった。急に仏壇へ果物も供えたという。父の初めて見る姿に栄市さんは「伝えることに意味があると、父なりに感じているんだと思う」と推し量る。

 栄市さんの子どもたちとの向き合い方も変わったという。紅型に興味のある長女は、小学校で平和学習を受けた。「どういうことを考えたか、聞いてみたい」と栄市さん。この週末は家族で墓参りし、祖父らをしのぶ予定だ。(社会部・西里大輝)