50すぎの筆者が身に着けても様にならないのは承知の上で、「これを羽織ると、どんな着心地なのか」と考えてしまった

▼那覇市のタイムスギャラリーで開催中の日本民藝協会全国大会記念工芸展に飾られた知念績弘の紅型にはそう思わせる魅力がある

▼「ほーっ」とため息をついて、美しい色合いや細かな技術にじっと見入る。観賞用に制作された美術品とは違い、展示された逸品はどれも見る者が使ったときの気分を想像せずにいられない

▼ガラスケース内には新垣栄三郎、金城次郎、小橋川仁王らの手になる皿や壺(つぼ)、作者不明の19世紀以前の古陶も並ぶ。「この白い角徳利(とっくり)に泡盛を入れ、なみなみと杯に注いで飲むとさぞや…」。酒好きの妄想はおのずと膨らむ

▼「素晴らしい物があると、当然使いたい気持ちになりますよ」と話すのは久高民藝店の久高美佐子さん。那覇市立壺屋焼物博物館の「金城次郎展」(26日まで)では久高さんが収集して、日ごろ使っている陶器が陳列されている

▼大ぶりの鉢には煮付けを入れ、マカイ(おわん)は日々の食卓に、角鉢は蚊取り線香入れに。陶工自身「雑器類は使いやすく用途を考えて作らなければならない」(「私の戦後史」)との考えを持っていた。素朴な中にある力強さと温かさ。展示会をはしごしながら、民藝運動の根幹にある「用の美」を実感した。(玉城淳)