民放の衛星放送は、懐かしい時代劇、旅番組など、盛りだくさんです。番組間の宣伝は、アミノ酸製剤、グルコサミン、コーラゲン、ヒアルロン酸など、健康、美容食品の紹介を繰り返しています。視聴者が、健康づくりのために、これらを購入し服用したくなるのも不思議ではありません。

イラスト:いらすとや

 最近、これから紹介するようなケースをよく経験します。

 健康管理には、人一倍気を使っている50歳代のご婦人です。血液検査で、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)が200mg/dL代とかなり高い値でした。それまでは、正常値から少し高めの150mg/dL程度で経過していました。「思い当たることはないでしょうか」と尋ねましたが、腹八分にし、油ものや間食を控え、週3度のウオーキングも欠かさない、優等生な生活ぶりです。

 「何かサプリメントや健康食品などを始めましたか」と聞いてみますと、やし由来の油を使用していることがわかりました。しかも、みそ汁や煮物など、本来は加えなくてもよい料理にまで使っていたのです。やし由来の油は、植物性で体によい油であるという印象を持ちます。しかし、常温で固形になる飽和脂肪酸を主成分とするココナツ(100g当たり飽和脂肪酸が86・5g)を加工したもので、検査結果の悪化を説明するには十分でした。

 過剰な飽和脂肪酸摂取は、LDLコレステロール値を上げ、動脈硬化の原因となることが知られています。食事療法としては、この飽和脂肪酸を1日の摂取カロリーの10%程度に抑えることが推奨されます。

 ご婦人には、以上のことをご説明し、リノール酸などの油を使ったバランスよい食事を心がけていただきました。2カ月後の検査では、すっかり値は正常化していました。

 健康、美容食品紹介は、あくまでも宣伝広告であり、ましてや使用した個人の感想ですから、購入は十分に吟味すべきです。服用している薬との関連も考えられますので、ぜひ、私たち医師に相談していただきたいと思います。(涌波満 ファミリークリニックきたなかぐすく内科)