【恩納】沖縄の陸域の自然環境の保全を目的に、本島での環境モニタリングのシステムを構築しようと、恩納村谷茶にある沖縄科学技術大学院大学(OIST)が「OKEON美ら森プロジェクト」(沖縄環境観測ネットワーク)を進めている。本島全域でアリを中心とした昆虫を採集し、その種類の増減から環境変化を把握する。OIST研究員でプロジェクトコーディネーターの吉村正志さん(44)は「個体を採集・保存することで、環境教育から先端の研究にも役立てることができる」と話している。

設置した昆虫採集のためのテント型トラップについて説明するOKEON美ら森プロジェクトコーディネーターの吉村正志さん=東村

 OISTは2014年度からプロジェクトに向けた作業を進め、15年度から本格始動。同年6月から昆虫採集のためのテント型トラップ(SLAMトラップ)の県内各地への設置を始めた。

 ことし3月31日の東村ふれあいヒルギ公園で、県内の森林公園や山林など全24調査地点に計72基の設置を完了した。トラップは全長約1~2センチの昆虫が入る仕組み。吉村さんは年間約600万個体が採集できる可能性があるといい、個体はDNA解析ができるよう、OISTで低温保存する。

 アリを専門に研究している吉村さんは、「昆虫は個体数が多く『環境指標性生物』として適している」と指摘。特にアリは食物連鎖の中で重要な役割を果たし、個体数も多いため「正確に環境を評価できる可能性があり、環境負荷もかからない」と説明。

 アリは大半の種類が特定されており基礎的な分析データが取りやすいため、高校などでの研究もしやすいという。

 同プロジェクトでは、辺土名など県立4高校の授業や生物クラブの担当教諭に研究の進め方を助言したり、県内の博物館が実施する環境教育プロジェクトにも協力しているという。

 吉村さんは「将来的には、美ら森プロジェクトで沖縄の生物多様性の先端研究と環境教育を通して、沖縄の持続的な発展に貢献していきたい」と話した。