うまく意思が伝わらなかったり、時にはからかわれたり。留学時には何度も言葉の壁にぶつかった。心細くなりがちな異国の地で生活できたのは、サポートしてくれる友人や教員がいたから

▼彼はどうだっただろうか。全九州高校体育大会のバスケットボールの試合で、留学生選手が審判員を殴った問題。宮崎県の学校側はこの学生を自主退学という形で、帰国させるとした

▼暴力は許されるものではない。ただ、留学生は試合後に泣いて何度も謝罪したという。人種差別的な誹謗(ひぼう)中傷や暴力行使を示唆する電話やメールなどが学校に寄せられたことから、本人や保護者の意向を尊重した上での帰国となった

▼学校は意思疎通の不足など指導者の責任も認めて処分を決めたが、学生の母国語である仏語を話す教職員は不在で、今後配置を検討するという。問題をきっかけに留学生を受け入れる態勢の不十分さも明らかになった

▼日本では2000年ごろから、バスケットボールの強豪校などを中心に留学生を競うように受け入れてきた背景がある。勝負事だけが優先されてきてはいないか

▼留学生はホームシック気味だったともいう。15歳が抱えた後悔や反省、心ない誹謗中傷などによる帰国には、後味の悪さが残る。留学生の成長を導くためのケアや受け入れ環境の点検が必要だろう。(赤嶺由紀子)