島外への若者の流出で人口減少が進む沖縄県南城市の久高島では、若者のUターンを促そうと、住民が住居確保などの環境整備に向けた取り組みを主体的に進めている。流出に歯止めが掛からない場合は市の推計で2060年にも島内から若者がいなくなることも想定され、住民は島の存続と発展に向けて努力を重ねている。(南部報道部・知念豊)

沖縄で「神の島」と呼ばれる久高島

識者や住民らが意見を交わした「地域円卓会議」=3日、南城市知念久高・離島振興総合センター

沖縄で「神の島」と呼ばれる久高島 識者や住民らが意見を交わした「地域円卓会議」=3日、南城市知念久高・離島振興総合センター


 南城市が14日までにまとめた「久高島観光基礎調査」によると、08年に277人だった人口は17年には251人に減少した。市の1月の住民登録者は247人とされているが、5月に久高区が調べた結果、実際の居住者は195人であることが判明し、実態はより深刻であることが分かった。

「60年には0人」

 実際の居住者は65歳以上が77人と全体の約4割に迫る一方で、20代~30代の「若者」は20人と約1割にすぎない。若者減少の要因は、中学卒業後に進学などで島を離れることや、島に住みながら島外で働くのは欠航などもあり難しいことが挙げられる。また、若者が家族を連れて島に戻りたくても「住む家がない」ことが大きな壁になっている。


 市が推計した将来人口では、最も減少するパターンで2030年に若者は13人となり、50年には2人、60年には0人となる見通しを示している。市は「若者が島内に居住できる環境の整備が急務」とし、危機感を募らせている。


 島伝統の追い込み漁も中心メンバーが60代と高齢化し、人数の少ない若い世代から伝統継承を不安視する声もある。また、久高小中学校の児童数も06年には46人いたが18年には21人と半減、学校存続の危機意識も高まりつつある。

土地憲章の解釈

 区と市は3日「地域円卓会議」を開き、住民や識者らが若者を島に戻すための議論を交わした。久高島青年団長の西銘幸太さん(35)は「住居や保育所、病院がないことから、子育て世代は島に仕事があっても戻れない」と住環境整備の必要性を訴えた。


 久高区の「久高島土地憲章」には、土地は区全体の所有であり、世帯主が家を建てるには、区の土地管理委員会や字会から土地の利用について承認を得る必要があると定めている。自然環境や集落景観の保持、土地の公正な利用に役立ててきた半面、権利者が島外へ出て空き家になったり、土地の利用権を持たない若者が住居を建築できないため、島に戻れない一因にもなっている。


 市の調査では空き家や空き地は65カ所ある。会議でも空き家を活用できるよう同憲章の解釈を見直すよう提案があった。島外に住む権利者から権利の返還を求めるべく、窓口を設けて交渉するべきだとの声も上がった。

 区では次回の総会で同憲章について解釈を再確認するとしており、空き家の活用ができるようになれば、島に戻りたいと願う若者にとって大きな前進となる。


 若者の住居や雇用の確保など、島の諸課題に取り組む住民組織「島建て協議会」の外間長裕会長は「私は長男でもあり、自分で建てた家があったから島に戻ることができた。公営住宅建設の要請もしており、他にも産業振興を図るなど島の若者が戻れるよう協議を重ねたい」と力を込めた。