どうしようもないが、愛さずにはいられないのが家族というもの。手前勝手で、周りの状況など忖度(そんたく)せずわが道をまっしぐら。そんな人々のいとおしくも、冬の布団にくるまれたかのような物語。

「焼肉ドラゴン」

 万国博覧会が催された1970年の大阪。高度経済成長に浮かれる時代のその片隅で、ちいさな焼き肉屋を営む家族があった。戦争で故郷を失い、片腕を失った父親の口癖は“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとええ日になる”だ。だが戦後の日本で在日コリアンとして生きるのはええ日ばかりか、辛いことのオンパレードだった。

 泣き笑いのタイミングが一緒だった見知らぬ年配女子3人組の「はっさ、いい映画だったね~」に大きくうなずく。母の強さと父の優しさは、万国共通の最強アイテムのようだ。 (スターシアターズ・榮慶子)

 ◇サザンプレックスで上映中