タイムス×クロス 平安名純代の想い風

米海兵隊ネラー氏の「普天間」発言 根底に植民地政策の歴史 アメリカ有権者の抗議が必要

2018年7月2日 10:00
平安名 純代
平安名 純代(へいあんな すみよ)
沖縄タイムス米国特約記者

沖縄県那覇市出身。1995年渡米。日英両語のロサンゼルス日系紙「羅府新報」でカリフォルニア州議会やロサンゼルス市議会などの担当を経た後に副編集長。2010年12月から現職。米軍普天間飛行場の移設問題をめぐるラムズフェルド元国防長官との単独会見などの一連の取材で12年に第16回新聞労連ジャーナリスト大賞優秀賞を受賞。

 自分の利益のために他者から奪い、その行為を正当化するために事実関係をねじ曲げる。「普天間飛行場の建設時の写真を見ると、数キロ内に人は住んでいなかった」とのネラー米海兵隊総司令官の発言を理解するには、アメリカという国が侵略と戦争で領土を拡大してきた植民地政策の歴史を知る必要がある。

(資料写真)普天間飛行場

 新たな土地を求めてヨーロッパから北米大陸に上陸したコロンブスらは、その地に住んでいたアメリカ先住民を武力で制圧し、土地を剥奪。東海岸では18世紀半ばまでに13植民地が形成された。

 植民地主義とは、国家の主権や領土を拡大し、他国を支配する政策や思考だ。13植民地は後に北米全土に拡大。米国は何十もの戦争に参加して軍事力で他国に干渉し、領土を広げ、大国となった。

 アメリカ先住民で元米連邦上院議員のベン・ナイトホース・キャンベル氏は「かつて米国の土地は1億人以上のアメリカ先住民が100%を統治していたが、現在ではわずか200万人が2%を統治しているにすぎない」と指摘。米国は合衆国憲法で「連邦政府、外国政府、州政府、先住民の部族政府」と四つの主権政府を認め、多くの先住民部族と平和条約を結んだが「これらは後に全て破棄された」と回顧。先住民族と入植者の間で争いが生じると、米政府は軍を派遣して先住民を制圧し、「紙上の約束にすぎない先住民との条約よりも、有権者を大事にした」と奪われた歴史を回顧している。(米国務省編さん資料)

 米政府のこうした手法は今も変わらない。普天間は、戦時中に住民を収容所に入れ、米軍が奪った土地に造った基地だ。しかし、都合の悪い事実を正当化するために「人は住んでいなかった」ことにする。ネラー氏の発言は、武力で領土を拡大してきたアメリカの植民地政策が反映されたものなのだ。

 宜野湾市議会は先月8日、全会一致でネラー氏への抗議決議案を可決した。しかし、沖縄だけが声を上げても、米政府は耳を傾けようとはしないだろう。それを変えるには、米軍内部やアメリカの有権者らの抗議が不可欠だ。

 アメリカには沖縄からの移民や沖縄での駐留経験を持つ元軍人や沖縄を愛する人々が大勢いる。米国の不正義を正すために立ち上がって抗議し、間違った歴史認識にノーを突き付けてほしい。さもなければ、惜しみなく沖縄を奪う行為が永遠に続くことになる。(平安名純代・米国特約記者)

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