2017年度から使われる帝国書院の高校教科書「新現代社会」に、沖縄の基地と振興策について事実誤認の上に立ったコラムが掲載されていた問題で、同社は記述を大幅に訂正・削除した。

 問題となったのは「沖縄とアメリカ軍基地」と題するほぼ1ページを使ったコラムである。

 特に県民の批判が強かったのは、「日本政府も、事実上は基地の存続とひきかえに、ばくだいな振興資金を沖縄県に支出しており、県内の経済が基地に依存している度合いはきわめて高い」という部分である。指摘を受け、丸々削除された。

 訂正後の文章は、基地関連収入の県経済に占める割合を「約5%」と記す。

 米軍統治が続いたことや、多数の離島の存在、亜熱帯地域にあり、米軍施設が集中していることなどを挙げ、「(日本政府は)さまざまな特殊事情を考慮して、毎年約3千億円の振興資金を沖縄県に支出し、公共事業などを実施している」とする。

 政府が沖縄振興策を推進する背景にこれら特殊事情があるのは事実で、予算規模が3千億円というのも、その通りである。

 しかし、これだけを読むと、特殊事情があるために沖縄だけが毎年3千億円を特別にもらっていると、誤読する高校生がいるかもしれない。

 他県とは違う沖縄予算の仕組みを知らなければ、なおさらである。

 訂正しても、誤解を与えかねない表現は残されたままだ。

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 本土との格差是正を柱とする沖振法に基づき沖縄予算に導入された一括計上方式は、省庁間の縦割り行政を排除し、予算を一元管理するためのものだ。

 「優遇されている」「基地の見返り」との言説が流布しているのは、一括計上される総額が発表され、額が独り歩きしているからでもある。

 沖縄予算は国庫支出金と国の直轄事業費を合わせたもので、それらは沖縄だけがもらっているわけではない。

 沖振法による高率補助の財政措置も格差是正のためで、補助率は異なるが離島振興法など地域振興法、奄美群島、小笠原諸島を対象にした特別措置法にもある。

 インターネット上にはんらんする情報をつまみ食いするような誤った記述のある教科書が文科省の検定を通過し、訂正してもなお誤解を与えかねない記述が承認される。

 どうしてこんなことが起きるのだろうか。

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 かつて県経済が基地に依存していたことは確かだ。復帰後、基地依存度は低下し、代わって問題となったのが財政依存度の高さだった。

 今、県が目指しているのは民間主導の自立型経済の構築である。この経済振興の方向性は「沖縄21世紀ビジョン基本計画」にも盛り込まれている。

 これから社会に出る若い人たちに誤った意識が植え付けられる前に、沖縄発の情報を増やしていくなど、県も働き掛けをもっと強める必要がある。