社説

社説[県内に陸自補給拠点]軍事要塞化を危惧する

2018年7月4日 07:51

 沖縄で自衛隊の増強計画が次々と浮上している。

 防衛省が弾薬や燃料などの物資を集積する陸上自衛隊の補給拠点を県内に初めて設置する方向であることが分かった。米軍ホワイト・ビーチ地区に近いうるま市の陸自勝連分屯地に配置する案が有力だ。海上輸送で同地区を使える利点があるからだという。

 今年2月には地上から艦艇を攻撃する陸自の地対艦誘導弾(SSM)の新たなミサイル部隊の本島配備計画も明らかになっている。

 いずれも中国の海洋進出を念頭に置いたもので、年内に改定する防衛力整備の基本指針「防衛計画の大綱」と2019年度からの「中期防衛力整備計画」に明記する考えである。

 防衛省が説明責任を尽くさずに進めるのは、とうてい納得できない。きちんとした説明を求めたい。

 離島奪還作戦を担う専門部隊である日本版海兵隊「水陸機動団」の2個連隊(約2100人)が3月に陸自相(あいの)浦(うら)駐屯地(長崎県)に発足。その補給も想定している。

 20年代前半には3個連隊目が米軍キャンプ・ハンセンを共同使用して配備されることが取りざたされている。

 陸自第1混成団は第15旅団に格上げされた。空自那覇基地ではF15戦闘機部隊を2個飛行隊に倍増、約40機態勢で第9航空団を編成している。

 自衛隊の急激な増強計画は、復帰時の沖縄配備を除けば過去に例がない。米軍を含め沖縄総体として考えれば、「負担軽減」に逆行するのは明らかである。

■    ■

 離島では自衛隊の強化がさらに顕著だ。

 国境の島、与那国島にはすでに航空機や艦船をレーダーで監視する沿岸監視部隊が配備されている。

 地対艦ミサイル部隊、地対空ミサイル部隊、警備部隊などの陸自配備に向け、宮古島では工事が始まり、石垣島では計画が進められている。

 両島には弾薬庫も設置される予定だが、本島に補給拠点を置くのは、これだけでは不十分だからだという。

 自衛隊の増強計画について政府は「抑止力を高める」と強調するが、緊張を高める可能性もある。「安全保障のジレンマ」に陥り、軍拡競争を招きかねない。

 沖縄が戦場になることを想定しているにもかかわらず、決定的に欠けているのは住民の視点である。離島県である沖縄でいったん有事になれば、どのようにして島から避難できるというのだろうか。

■    ■

 南西諸島の防衛を名目に自衛隊を増強する一方、辺野古では市民らを排除して新基地建設を強行する。防衛省は来月にも埋め立ての土砂投入をすると県に通知している。

 新基地建設と自衛隊配備が同時並行的に進み、沖縄が軍事要塞(ようさい)化される現実はあまりに理不尽だ。

 先の沖縄戦で本土決戦に備えた時間稼ぎのために「捨て石」にされたことを忘れてはならない。沖縄が再び戦場になりかねない危険な軍備増強はやめ、日本はむしろ緊張緩和を後押しする方向にかじを切るべきである。

これってホント!? 誤解だらけの沖縄基地
沖縄タイムス社編集局編
高文研
売り上げランキング: 24,236

あわせて読みたい

関連リンク

社説のバックナンバー

沖縄関連、今話題です(外部サイト)

JavaScriptをOnにしてください

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム