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「泡盛離れ」を読み解く 安里睦子氏(ナンポー社長)

2018年7月4日 13:40
安里 睦子
安里 睦子(あさと むつこ)
ナンポー社長

1972年生まれ、宜野湾市出身。2010年にナンポー通商(現・ナンポー)企画部長、14年に常務を経て16年から現職。18年からちとせ印刷の社長を兼任。

 沖縄国税事務所が発表した2017年度の県内の全酒類の課税額は、前年度比3.3%減の100億6300万円、課税出荷量は3.9%減の6万6783キロリットルだった。泡盛は額・量ともに13年連続で減少。若者や女性の泡盛離れ、嗜好(しこう)の多様化などが背景にあるとみられる。(6月26日付)

主張しない戦略もある

 泡盛離れが止まらないという記事を見て、思うことがある。4月の記事には泡盛出荷量13年連続減とあった。いろいろな記事を読んだが、多くの課題や問題点が指摘されている。若者や女性のニーズが低迷しているともあり、泡盛を飲まない理由で最も多いのは「臭い」、次いで「おいしくない」「度数が強い」「甘みがない」などだ。問題定義とプロモーションの仕方は正しいのだろうか?

 ある飲み会の席で印象深い意見を聞いた。「泡盛は、酔っぱらったおやじを思い出す」とか、「泡盛を飲んだ上司が愚痴りだし、飲み会が苦痛」など、よっぱらいの臭いという印象だ。大人の酒乱のイメージが強いお酒となっている。これはものすごくかっこ悪い。これでは泡盛と若者・女性を結びつけるのは困難だろう。

 最近では、女性受けしやすいように香りや甘みを足して工夫し、リキュールで販売しているのはすごくいいが、売れるテイストを加えるともっといい。ネーミングに泡盛と入れがちだが表現にも工夫がいる。実は原酒は泡盛だったという方が断然かっこいい。泡盛の負の印象を持っている人たちがいるなら、それを払拭(ふっしょく)するには強調しない方がいい。ウイスキーやワイン、日本酒も種別であり銘柄ではない。あえて強調せず、銘柄の商品戦略で推し進めている。

 時代の変化によりイメージ先行や嗜好の多様化が進む中、今までのお客さまには格式ある伝統の泡盛を追求しグレードアップさせ、一方で泡盛の名前をあえて主張しない別ブランドで挑戦し、若者や女性の心をつかむのはどうだろう。泡盛酒造会社が造るリキュールだからこそおいしいはずだ。

 県の泡盛製造業振興策検討委員会などでも、ぜひ最近泡盛を飲まなくなった人を年代別男女別で委員として参加させ、意見を聞くべきだと思う。泡盛を飲む方々が議論しても、「忖度(そんたく)」ばかりで本質にはたどり着かないし、プロモーションを行っても的外れになる。なぜ飲まなくなったか、飲まないかの生の声を聞き、改善策をとる方がいい。

 泡盛のイメージを変えたくないのは分かる。古き良き伝統は変えずに、泡盛は泡盛で大切にし、リキュールなど別の違うイメージを持った酒も提供すればいいのではないか。泡盛をなくすのではなく、泡盛を生かしているのだから自信を持って挑戦してほしい。泡盛らしさよりも泡盛酒造会社魂で、本来の泡盛を守るためにも、新しい表現を作り出す勇気が大切なのではないだろうか。(ナンポー社長)

★新企画「ニュースナビプラス」とは? 百貨店やコンビニなどを抱える小売業大手の会長、人工知能(AI)を研究する大学教授、スイーツ開発・販売業社長、旅行会社のシンクタンク社長、仕出し店とIT企業を経営する若手社長の5氏が、それぞれの専門的な知見を基に、国内外の気になるニュースを読み解きます。

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