保育園に入所できない待機児童の解消に向け、各地で保育園の整備が進められる中、近隣住民らの反対で新規開設を断念したり、延期を迫られたりするケースが、都市部を中心に相次いでいる。「子どもの声がうるさい」「送迎の車両で渋滞する」などがその理由だ。

 千葉県市川市では、4月に開園予定だった私立保育園が「子どもたちの声で騒がしくなる」などの住民の反対で開園中止に追い込まれた。運営予定の社会福祉法人と市が説明会を複数回開いたが、理解が得られなかったという。

 神奈川県茅ケ崎市でも、保育園の新設が断念された。車で送迎する保護者が多いと予想され、近隣住民が「事故が増える」と反対したためだ。

 県内でも、北谷町で2015年度中に予定されていた保育園の着工が見送られた。子どもの声や送迎車両による渋滞を懸念する住民の反発を受け、別の候補地を探しているという。

 宜野湾市では、住民から渋滞発生を懸念する声が上がっため、開設を今年4月に延期し、当初の予定地から数百メートル離れた場所に建設された。

 子どもたちの育ちを支える保育園が「迷惑施設」と捉えられるのであれば残念だ。一方、近隣住民の中には病人や夜勤従事者ら日中に静かな環境を求める人もいる。さらに車社会の県内では、車で送迎する保護者が多い。朝夕の混雑時に周辺の渋滞を招くのでは、との懸念は理解できる。

 保育の受け皿と地域社会の共生をどう図るかが、沖縄でも問われている。

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 東京都が14年に都内62自治体に行った調査では、42自治体が「保育園や幼稚園、小学校、公園の子どもの声で苦情を受けたことがある」と回答。苦情を受けて15自治体が保育園などでの外遊びの時間を短縮したほか、6自治体では防音壁を設置したり遊具の位置を変えるなどした。

 「保育園落ちた」ブログが共感を呼んだように、保育園は働く親にとって、仕事と子育ての両立の鍵を握る。

 にもかかわらず新設に反対の声が上がったり、既存施設にも苦情が寄せられたりするのはなぜか。核家族化や人間関係の希薄化が進み、日頃、幼い子どもと触れ合う機会のない人たちが増えていることが指摘されている。

 また、都市部では用地確保が難しく、周辺は幅の狭い道路しかない奥まった場所にも建設されるケースがある。保育園の整備に理解はしても、近所に建てられるということになれば戸惑うのだろう。

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 待機児童の解消には、保育の受け皿整備が欠かせない。保育園を新設するには、これまで以上に地域へ丁寧に説明する必要がある。騒音や渋滞など近隣住民が懸念しているのであれば自治体の主導で調整し、払拭(ふっしょく)に努めてほしい。

 開園後も地域の理解は重要だ。保護者は送迎のルールを守り、地域の行事には園児や職員も積極的に参加するなど顔の見える付き合いで信頼関係を築きたい。

 子どもは「地域の宝」だ。誰もがそう思える社会でありたい。