「熊本地震」は夜が明けるにつれ、被害が拡大した。政府は、一日も早く「激甚災害指定」をして、復旧の後押しに全力を挙げてほしい。

 14日午後9時26分ごろ、熊本県益城町(ましきまち)で震度7を観測する地震が発生し、同町内の7人を含む9人が死亡した。同県内のけが人は千人を超え、重傷者は53人となった。

 震度7を観測するのは東日本大震災以来で、九州で初めてだ。震源地の深さは約11キロ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6・5である。震源が浅ければ、その真上の震度は大きくなる。余震がやまないのもそのためだ。

 今後1週間、震度6弱程度の余震が発生するという。熊本地方は16日から天候が悪化し、局地的に大雨が降るとの予報が出ている。

 土砂崩れや家屋の倒壊など二次被害の恐れがある。熊本地震は継続中なのである。警戒を怠ってはならない。

 熊本地震は内陸活断層による直下型地震とみられる。

 気象庁は活断層が南北方向に引っ張られて動いた「横ずれ断層型」の地震とみている。震源付近には「布田川(ふたがわ)断層帯」と「日奈久(ひなぐ)断層帯」が接するように伸びている。

 政府の地震調査委員会は15日、日奈久断層帯の北側区間がずれて発生した可能性が高いと指摘した。

 熊本県で突然、地震が起きたとの印象があるが、地震学者によると、小中規模の地震が多かった地域である。

 政府の地震調査研究推進本部も「布田川・日奈久断層帯」が30年以内にM7・6程度の地震が起こる確率について最大で6%と推定している。

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 多くの家屋が倒壊したが、下敷きになって死亡したのは高齢者がほとんどだった。テレビに映る倒壊家屋は昔ながらの木造が多い。耐震補強はなされていたのだろうか。

 阪神大震災の調査で、地震による直接死のうち、約9割が家屋や家具の倒壊による圧死で、そのほとんどがほぼ即死だったことが分かっている。家屋や家具の倒壊を防ぐ事前の備えこそが、地震が起きた場合の生死を分けるといっても過言ではない。

 阪神大震災で、1981年以前の古い耐震基準の住宅に倒壊が集中したことから、これを改善しようと国や自治体は耐震改修費用の補助制度を設けるなどしている。

 制度を知らないお年寄りが多いかもしれない。

 古い家屋の多い地域は人ごとではないはずだ。生死に関わることである。行政はお年寄りの相談に乗りながら改善の方向を探ってもらいたい。

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 地震がいつ発生するか、特定が不可能であれば自治体や地域、住民が日ごろから備えておくべきなのは、耐震補強のほか、高齢者や身体障がい者ら災害弱者をどこに、どう誘導するか、など具体的な目配りをした防災訓練である。

 日本は至るところに活断層が走る「地震の巣」である。その上で生活していることを忘れてはならない。日本では、いつ、どこで地震が起きても不思議ではないのである。

 熊本地震の復旧に向け、ボランティアをはじめ、全国から温かい手を差し伸べたい。