「何とも理不尽さを感じますが、国家権力にはかないません」。元航空幕僚長の田母神俊雄容疑者(67)は逮捕直前、ツイッターにこう書き込んだ。国家権力の側に自分がいたことなど、まるで忘れたかのようだ

▼2014年の東京都知事選で、支持者の寄付などで集めた約1億3千万円のうち、5千万円余が使途不明で、複数の運動員に報酬を渡していた公選法違反(運動員買収)の疑いがもたれている

▼田母神容疑者といえば「日本は侵略国家ではない」と論文に書き、空幕長を更迭されたが、退職後も積極的に持論を展開。都知事選では若者や富裕層を取り込み、4番目に多い61万票を獲得した

▼はっきりと物を言う姿勢が注目されたが、政治資金では歯切れが悪い。元会計責任者の私的流用から運動員に報酬を支払ったと説明が変わり、報酬支払いには「いったん了承したが、配ったことは後で知った」と釈明した

▼元会計責任者を告訴したが、元選対本部長に逆に資金流用で告発され今回、元事務局長とともに逮捕され内部崩壊。不正を否定するが、ずさんな金の流れへの選挙管理団体代表としての責任は逃れない

▼田母神容疑者は現職時、組織内で自分が応募した懸賞論文を紹介し、東京裁判や憲法に関する講座も開いていた。「田母神イズム」が浸透していないか気がかりだ。(玉寄興也)