思わず息をのむ美しさと存在感。那覇市歴史博物館で展示されている尚家の宝刀を見た。いずれも国宝の千代金(ちよがね)丸と治金(じがね)丸、北谷菜切(ナーチリー)

▼中でも黄金色の鞘(さや)がまばゆい千代金丸が目を引く。史書「球陽」によると、最後の山北王・攀(はん)安知(あんち)が尚巴志の軍勢に攻められ、今帰仁城落城時にこの刀で自害。後に尚真王の手に渡ったというまがまがしい逸話が残る

▼16世紀に作られたとされる細身の刀身は約71センチの長さ。鍔(つば)には精緻な菊の文様がほどこされ、武具というよりも美術品の趣がある

▼1909(明治42)年の鑑定書には「他ニ類ナキ珍品也」、「騎兵ノ様式ヲ具へ」の記述がある。今帰仁城跡からは馬の骨も多く出土していて、馬上の英雄が勇ましく刀を振りかざす姿が浮かび上がる

▼名刀ゆかりの今帰仁城跡の曲線美を誇る城壁が、台風7号の雨などで大きく崩れてしまった。半世紀以上の時間をかけ復元されてきた石積みも、大自然のパワーにはあらがえなかった。村教委などは修復に取り組もうとしているが、二次災害の恐れがあり、保全もままならないという

▼西日本などで活発な梅雨前線による豪雨のため、多くの死傷者が出ている。週明けには非常に強い台風8号が、沖縄地方に接近する見込みだ。決してひとごとではない。備えあれば憂いなし。きょう1日を、ぜひ災害対策の日に。(玉城淳)