住宅地の裏山の斜面が大きな音をたてて崩れ、土砂が民家を押しつぶした。

 川の堤防が決壊し、周辺の住宅地がわずかに屋根の部分だけを残し、水に漬かった。 元の形をとどめないほどぐちゃぐちゃになった車、屋根の上で手を振って救助を求める住民…。

 テレビに映し出される被災地の映像は、記録的な大雨被害のすさまじさをあらためて突きつけた。

 活発な前線の影響で、7日も西日本を中心に各地で記録的な大雨が降り続き、土砂崩れや河川のはんらん、冠水などの被害が相次いだ。

 消防、警察、役場などの公共機関やツイッターには、生き埋め情報や助けを求める住民のSOSが続いた。

 共同通信のまとめによると、5日から7日夜までに51人が死亡、今も安否が確認できない人の数は約50人にのぼる。

 政府や地元自治体は人命救助を最優先し、対応に全力を挙げてほしい。

 ライフラインの復旧や生活支援も急がなければならない。関係省庁と被災自治体の連携が不可欠だ。

 気象庁は「8日にかけて局地的に非常に激しい雨が降るおそれがある」と注意を呼びかけている。被害の拡大を防ぐための具体的な手だてを講じる必要がある。

 それにしてもこれほど被害が拡大してしまったのはなぜなのか。被災者は、気象庁が発表する情報をどう受け止め、どのように「身を守る行動」を取ったのだろうか。過去の経験はどのように生かされたのだろうか。

■    ■

 記録的な大雨を降らせたのは、西日本から東日本にかけて梅雨前線が停滞し、そこに南からの暖かく湿った空気が流れ込んだからだという。

 気象庁は6日午後、数十年に1度の大雨によって重大な災害が起きるおそれが高まっているとして、福岡、岡山、広島など8府県に「大雨特別警報」を発表し、最大限の警戒を呼びかけた。

 「大雨特別警報」の発表を受け、NHKは重大な危険が差し迫っているとして身を守る行動を取るよう繰り返し呼びかけた。

 「大雨特別警報」の意味をどれだけの住民が理解していたのか、検証が必要だ。

 土砂災害については、政府も自治体もその危険性を指摘し続けているが、「大雨特別警報」と「土砂災害の危険性」を結びつけ、適切に身を守る行動を取った住民はどのぐらいいたのだろうか。

 災害弱者を対象にした「備え」はどうだったのか。

■    ■

 猛烈な台風8号の動きも気になる。9~10日ごろに大東島地方に、10~11日ごろに沖縄本島地方や先島地方に接近するおそれがあるという。

 9日午後には中心気圧が905ヘクトパスカルに発達する見通しで、中心付近の最大風速は55メートル、最大瞬間風速は80メートルと予想されている。過去最大級といっていい。

 台風7号と大雨によって地盤は緩んでおり、沖縄を直撃すれば、相当な被害が予想される。通常とは異なる厳重な台風対策が必要だ。