中米パナマの法律事務所から流出したタックスヘイブン(租税回避地)に関する「パナマ文書」が世界を揺るがしている。

 妻と共同で英領バージン諸島に会社を所有し、巨額の投資を行っていたアイスランドのグンロイグソン首相は、抗議デモの広がりで辞任に追い込まれた。

 英国のキャメロン首相は、亡父が生前、パナマに設立したタックスヘイブンの投資ファンドによって利益を得ていたことが明らかになり、野党の激しい非難と退陣要求デモに見舞われた。

 中国では、「反腐敗」を掲げる習近平国家主席の義兄が、バージン諸島に設立された会社の株主となっていたことが公にされたため、「パナマ文書」事件そのものの報道が規制されている。

 「パナマ文書」が衝撃をもって受け止められているのは、拡大する所得格差の裏で、政治家や政治指導者の親族、富裕層が「課税逃れ=蓄財」に走っている現実が暴露されたからだ。

 統治の正当性を脅かしかねない深刻な事態である。 

 米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は、国際的な課税逃れを防ぐため、各国が連携を強化することで合意した。

 「パナマ文書」を国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)が入手し、同連合に加盟するメディアが一斉に秘密ファイルの内容を報じたことで、各国の納税者が怒りの声を上げ、G20を動かしたのである。

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 世界には他国に比べ著しく税率が低いか、税が課されない国・地域がある。パナマや英領バージン諸島、英領ケイマン諸島などが有名だ。

 これらの国や地域は産業に乏しく税率を低くするかゼロにすることで海外の資金を呼び込む政策を採用している。

 そのような国・地域のことをタックスヘイブンと呼ぶが、タックスヘイブンを利用すること自体が違法だというわけではない。

 合法的な行為に対して各国が対策を強化しているのは、事業実態はないにもかかわらず租税回避地に会社を設立し、資産や利益を移すことによって納税を回避する課税逃れが横行しているからである。

 放置すれば自国の税収減を

招くだけにとどまらない。「上だけが不当な蓄財でいい思いをしている」との不満や不公平感が広がり、租税制度に対する信頼を失わせる。

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 利用者にとってタックスヘイブンの魅力は、秘密性が高いことだ。マネーロンダリング(資金洗浄)などの不正の温床になりやすいのも秘密性が高いからである。透明性を高める仕組みを作ることが重要だ。

 G20声明は、租税回避地にある法人の実質的な所有者を特定し、各国で情報交換することなどに合意した。情報交換に協力的でない国を公表するなどの制裁方針も初めて盛り込まれた。

 抜け穴を塞いで実効性を高める国際的なルール作りを急ぐ必要がある。