「生きてます。ただ、こわすぎる」-。熊本地震取材のため、15日昼に被災地入りした山城響記者からの携帯メールが届いたのは16日午前1時59分。同25分ごろに起きた震度6強の本震に、熊本市内のホテルで遭遇した

 ▼分厚いベッドごと宙に投げ出され、必死に外へ逃げたという。夜が明け、前日訪れた益城町に再び入ると「倒壊を免れた家屋も、半壊だった店舗も、前日まであったものがめちゃくちゃになっていた」(17日付本紙)

 ▼震度7の前震発生から5日、すでに44人も亡くなった。熊本、大分両県では9万4千人が避難生活を強いられている。揺れるたびに「余震」か「本震」かも分からず、おびえ惑う心境を思うと胸が痛い

 ▼全国的に支援の動きが広がる中、一部ネット上では「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「ライオンが逃げた」などと悪意に満ちたデマが投稿され、今も後を絶たない。「益城町に窃盗団が入った」「○時○分に本震が起きる」などのデマが、疲弊した被災者をさらに不安に陥れている

 ▼「○時から○○で炊き出しがある」との情報の中に、うそがあるケースも。「あるらしい」と善意で伝えたつもりでも、情報の正確さを確かめずに発信すれば混乱を生むだけだ

 ▼被災者がいま、一番必要としているものは何か。現地にいる山城記者は「正確な情報」と訴える。(磯野直)