熊本地震は14日の「前震」と16日の「本震」の後も、余震活動が活発で、収まる気配がない。震度1以上の地震は550回を超えた。気象庁も「レアケースで先が見通せない」と警戒を呼び掛ける。

 熊本、大分両県の内陸の三つの活断層が引き起こしているとみられ、両県を中心に被害が拡大している。

 死者は44人に上る。8人の安否が依然不明の南阿蘇村では、本震から生存率が低下するとされる「72時間」が迫る中、土砂崩れや倒壊家屋現場で懸命の捜索が続く。

 避難住民も、9万人余り。避難所に身を寄せる住民らは激しい地震のたびに恐怖と不安に襲われる。極度のストレスに見舞われているに違いない。今後、「心のケア」が重要になってくる。

 映像を見ると、身動きがほとんど取れない小さなスペースしか確保されていない体育館などの避難所もあり、ついたてもない。女性は着替えや授乳などプライバシーが保護されているのだろうか。

 避難所には簡易トイレなどが備えられているものの衛生環境の悪化が懸念される。

 熊本市内の2カ所の避難所で、それぞれ男性1人が下痢や嘔(おう)吐(と)の症状を訴え、ノロウイルスと診断された。時間がたつにつれて集団感染のリスクが高まる。

 朝夕はまだまだ肌寒い日が続く。お年寄りや乳幼児、持病のある患者ら体調不良を訴える避難者らに対し、地元の保健師が圧倒的に不足している。医療関係のボランティアが緊急の課題だ。

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 阿蘇市内の避難所では急性心不全で女性(77)が死亡した。避難のストレスや疲労などが原因となった初の震災関連死の可能性がある。

 長期に及ぶ避難生活で心配されるのが「エコノミークラス症候群」だ。

 避難所の狭い空間では体が動かしにくく、長時間、同じ姿勢を取らざるを得ない。脚の静脈に血の塊(血栓)ができ、最悪の場合、肺に達し、血管を詰まらせ突然死に至ることがある。

 2004年に起きた新潟県中越地震で車中で寝泊まりをした被災者を中心に多くの人が発症。死亡者も出た。

 熊本地震でも避難所からあふれ、あるいは、屋内での避難を恐れ、自家用車の中で「車中泊」をする被災者が少なくない。水分を十分取り、膝の曲げ伸ばしなど体を動かすことが予防法だが、熊本県内で女性3人が意識不明の重体となる深刻な事態がすでに発生している。

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 避難生活は長期に及ぶことが避けられそうにない。先の見えない厳しい避難生活が続くことを考えると、一定期間、地震のない所に移動する「広域避難」も選択肢の一つではないだろうか。

 実現すれば、少なくとも避難者の「衣食住」は保障され、地震におびえることのない生活を送ることができる。

 熊本地震で避難所を開設している自治体や医療機関は、県内外の自治体などに協力を求め、広域避難の道を探ってほしい。沖縄県も現地の要望などを把握して率先して広域避難を受け入れてほしい。