いい年齢になるまで、実家に帰ると近所のおばちゃんたちが「○○ちゃん大きくなったね~、あんたのお母さんはいいひとでね~」と亡くなった母の話をよくしてくれた。それはとても幸せな時間だったと今でも思う。

ゆずりは

 葬儀社安宅の営業部長水島は義父で社長の松波から、“葬儀に涙は禁物”と教えられていた。そうでなくとも妻の自殺が自分のせいだと責め続けている水島の感情は、凍りついたままだった。今どきの若者代表のような高梨が入社してくるまでは…。

 大切な誰かが逝ってしまう悲しみは例えようもないが、それでも一休和尚の言う“親死に、子死に、孫死ぬ”の順序で行くことが出来ればどんなにか幸せだろう。

 “ゆずりは”は若芽が出てから昨年の葉がその場を譲るように散っていくそうだ。

(スターシアターズ・榮慶子)

 ◇パレットで上映中