「品のあるアールグレイの香り」「白茶とハーブの高級感ある香り」-。沖縄県内のリゾートホテルでアロマオイルを使った「香り」の演出が広がっている。アロマオイルの製造販売を手掛けるゴタス(那覇市)の代表取締役の富田唯さんが、嗅覚が記憶や感情に強く影響を及ぼす「プルースト効果」に着目。ホテルのコンセプトやロケーション、空気の流れなど特徴に合わせたオリジナルのアロマオイルを作り、旅の楽しい思い出と記憶を「香り」で結び付けている。(政経部・仲本大地)

ゴタスが販売するアロマ商品「オキナワホリック」

香りの演出を手掛けるゴタスの富田唯代表取締役=那覇市内

ゴタスが販売するアロマ商品「オキナワホリック」 香りの演出を手掛けるゴタスの富田唯代表取締役=那覇市内

 富田さんが、ホテルで香りの演出を始めたのは5~6年前。当初はホテルオリジナルのアロマ商品の開発・販売が主だったが、防臭や消臭目的でロビーや客室に取り入れると宿泊客から好評で、ホテル関係者からの問い合わせが増えたという。現在は県内外の45のホテルに提供している。

 アロマオイルを作る際に、匂いだけでなく視覚情報も意識している。例えば、ホテルのロケーションが山に近く、内装が木目調で落ち着いた雰囲気であれば、森林の中にいるような香りを演出。嗅覚と視覚から得られる情報が一致すると、より記憶に残るといい、何度も試作を重ね、ホテル側のコンセプトに近づけている。

 県内では「かりゆし」や「カフー」「アリビラ」などリゾートホテルの愛称が確立していることが独自の香りとして定着した要因に挙げる。香りには本来名前がないといわれており、匂いを嗅いだ時の特徴や周囲の状況に合わせて“○○の香り”と表現できる。また、アロマオイルを配合する割合や種類に応じて何通りも作ることができるため、ホテルオリジナルの香りブランドを作ることができる。

 5年ほど前から香りの演出をしている、かりゆし(那覇市)の玉城智司常務取締役は「リゾート気分を五感で楽しんでもらうために始めた。女性客を中心に『あの匂いが忘れられない』と、とても好評。今では全ホテルに“かりゆしの香り”として取り入れている。アロマオイルなど関連商品もお土産として人気だ」と話す。

 富田さんはゴタス独自のアロマオイル「オキナワホリック」の販売拡大も考えている。沖縄らしい、明るく柔らかな香りを表現するため県産シークヮーサーオイルなどを使用。新規開業や県外・国外のホテルブランドで利用客の認知度が低いホテルをターゲットにしていく。「旅行客が沖縄の思い出とホテルの匂いを結び付けてリピーターになるきっかけになってほしい」と話した。