国立沖縄工業高等専門学校の平良淳誠教授の研究室がこのほど、サンゴの一斉産卵にドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質が影響していることを確認した。サンゴの神経伝達物質の検出方法を初めて確立。謎が多い一斉産卵の要因解明や、産卵時期の予測につながる可能性があるという。

石西礁湖で確認されたサンゴ(ミドリイシ類)の産卵の様子((c)鈴木倫太郎さん)

 神経伝達物質などの成分を抽出、分析できる専用機器「LC/MS」を使った。慶良間諸島の周辺海域に生息するトゲスギミドリイシとコユビミドリイシの、サンゴ2種類の産卵前後の神経伝達物質の量を計測した。

 ドーパミンは、産卵前は普段より2・5倍となり、産卵後はさらに2倍に増加。ノルアドレナリンは産卵前は3倍、産卵後はさらに3倍となった。アドレナリンは産卵前後で大きな変化はなかったが、産卵でない時期よりも増えていた。

 サンゴの一斉産卵は水温や月光などの環境の変化が要因とされているが、何がどのように影響しているのか具体的に解明されていない。サンゴの生体内での仕組みも分かっておらず、平良教授は「解明の一歩になるだろう」としている。

 研究は2年前から国の科学技術研究費助成事業を活用して始めた。磯村尚子准教授、井口亮助教、卒業生の比嘉慈さん、土田渡永さん(肩書きは当時)が参加した。欧州の学術誌「BBRC」に5月に掲載された。

 平良教授は「研究を進めれば、一斉産卵のメカニズム解明が期待でき、産卵時期の予測も可能になる」と話した。(政経部・照屋剛志)