昨年亡くなった写真家・山田實さんの生誕100年記念展「きよら生まり島-おきなわ」が17日、東京にあるニコンプラザ新宿の「THE GALLERY」で始まる。東京では初となる個展開催を呼び掛けた長男の勉さん(74)=日本写真家協会員=は「沖縄の庶民史を写した父のまなざしを伝えたい」と話す。(南部報道部・堀川幸太郎)

父・山田實さんの個展の出品カットをネガから探す勉さん=那覇市久米

1972年撮影の「帰り道 海洋博予定地 備瀬 本部」。沖縄の原風景を残そうとした山田實さんのまなざしが伝わる(山田勉さん提供)

父・山田實さんの個展の出品カットをネガから探す勉さん=那覇市久米 1972年撮影の「帰り道 海洋博予定地 備瀬 本部」。沖縄の原風景を残そうとした山田實さんのまなざしが伝わる(山田勉さん提供)

 今回展示される約40点は1960年代前半の撮影分が中心で、働く人々や子どもの姿が多い。63年に写真家・濱谷浩から「変わりゆく沖縄を記録しなさい」と言われた山田さんが、各地で撮った頃だ。

 勉さんが東京で写真を学び、プロになった時期と重なる。「当時の日本写真界が抱いた沖縄のイメージは米軍統治下の基地の島。その中で写した市井の記録は貴重」と勉さん。實さんの残したネガフィルムは千枚以上あるが、基地を写したのは数点という。

 作品に対する實さんの姿勢は被写体の選択にとどまらない。

 例えば展示作の一つ、72年撮影の「帰り道 海洋博予定地 備瀬 本部」は二科展入選作。出品した際、審査員から上部の空とキビの穂先を切るよう言われ、實さんは従った。だが、後に實さんが編集した写真集には元の写真が載る。勉さんは「父の思いを反映している。沖縄の原風景を捉えようと、引き気味に写した作品が多い。構図を工夫したプロの作品とは異なる」とみる。

 展示作を選んだ写真史家の金子隆一さん(70)=東京=は「写っているものは沖縄では珍しくない風景や暮らしだろう。現実を等身大で写そうとしたまなざしを見てほしい」と語る。

 展示会は入場無料で30日まで。開場は午前10時半~午後6時半で日曜休館(最終日は午後3時)。17日は写真評論家の鳥原学さんと写真史家の仲嶺絵里奈さんの対談「沖縄写真史と山田實」、30日は金子さんのトークもある。

 問い合わせはTHE GALLERY、電話03(3344)0565。