沖縄県が発表した2015年度の入域観光客数は、800万人に届く勢いで目標の760万人を超え、国内客、外国客とも3年連続で過去最高を更新した。ただ、国内客だけを見ると前年度に比べ8万人強の増加にとどまり、目標に13万4千人足りなかった。観光客全体の約8割を占める国内客だが、観光業界では“国内客の沖縄離れ”に懸念が広がりつつある。(政経部・平島夏実)

 国内客数の伸び率は、12年度に前年度比6・0%増、13年度7・4%増、14年度3・9%増と推移。15年度は1・3%増と小幅だった。

 要因について県は、北陸新幹線の開通などで国内の競合地が増えたことを挙げる。さらに、「地方創生」を掲げる国の経済対策で宿泊券や土産の割引券が全国的に配られたことも影響したとみている。16年度も競合は続くが、景気の回復傾向に支えられて堅調に推移するとの見方だ。

 一方で観光業界には危機感もある。ホテル単価は外国客の増加に引っ張られる形で上がっているが「値上げしたにもかかわらずサービスがそのままなら国内客は二度と来ない」(ホテル関係者)からだ。

 外国客自体も、為替の変動や政治情勢、新型肺炎(SARS)のような感染症の流行など、多くのリスクをはらんでいる。海外でテロへの不安が高まる中で旅行先を日本に振り替えているとの指摘もあり、ある旅行会社は「外国客という追い風は今後弱まる」と分析する。

 では、どうすべきか。沖縄の海だけでなく文化も含めて魅力をブランド化し、外国客減のリスクに備える。外国客の「純増」に耐えられるよう、那覇空港第2滑走路やクルーズ船第2バースなどのインフラを整備する。国内市場に対しては8割を超えるリピート率を保つ。離島直行便の拡充やバリアフリーの強化で、沖縄を訪れた経験のない層を取り込む。県はそんな施策を描きながら、21年度の入域観光客数1千万人を目指している。

 沖縄の観光は、県と業界の足並みがそろってこそリーディング産業の地位を保つ。外国客にベクトルを傾けすぎて今後つけが回ってくることのないよう、国内客を固める意識の共有が大切だ。