まだ体になじんでいない、大きなランドセルを背負った新1年生のほほえましい後ろ姿をみると、叔母から贈られたそれを思い出す

 ▼床の間に置き、入学式まで箱から取り出して背負っては箱に戻す、をご多分にもれず何度も繰り返した。わくわく気分を盛り上げるランドセルは人生最初の大きなプレゼント。思い入れも深くなる

 ▼ことしは宜野湾市の双子の男児に、父親の仲間千善さん(53)が約5カ月かけて作った「世界に二つだけのランドセル」の話題が目を引いた(12日付1面)。一針に込めた愛情は、とっておきだ

 ▼高価だけにお下がりもあるだろう。八重瀬町では年金暮らしの祖母が孫のために無料のバザーで求めた(2日付しましま面)。祖母の手間が男児にゆいまーるやリサイクルの大切さも贈る

 ▼ランドセルの始まりは明治18(1885)年の学習院。使用人に荷物を持たせたり、馬車や人力車で通学したりする姿に「学校では皆平等、家庭環境を教育の場に持ち込むのはいけない」「学用品は自分の手で持ってくる」方針の下、軍隊の背のうが採用され、箱型、革製へと発展した(日本鞄協会から)

 ▼6年後に、たとえ小さくなったランドセルを背負ってなくても、贈った側の温かな気持ちを、贈られた側は忘れまい。それが130年続く人気の隠れた秘密かもしれない。(与那嶺一枝)