参院定数を「6増」する公選法改正案が、衆院の特別委員会で自民、公明両党の賛成多数で可決された。

 野党の強い反対と抗議の中、与党は採決を強行。民主主義の土台である選挙制度までも「数の力」で押し切るという振る舞いは、横暴極まりない。

 自民党提出の改正案は、(1)「1票の格差」是正で、埼玉選挙区を2増(2)比例代表に、政党があらかじめ定めた候補者順位に従い当選者を決める「拘束名簿式」の特定枠を設け4増(3)「鳥取・島根」「徳島・高知」の合区は維持-するというものだ。

 参院の定数増は、復帰に伴う沖縄選挙区新設を除くと戦後初めてとなる。

 「選挙制度は国民のためであって、自民党のためではない。原点に立ち返って考えてほしい」。参院特別委員会に参考人として出席した元自民党参院幹事長の脇雅史氏が批判した通り、改正案は党利党略が露骨である。

 透けて見えるのは、合区によりあぶれた自民党議員を比例代表の特定枠で救済しようとの狙いだ。「身を切る改革」に逆行する「お手盛り案」といわれても仕方がない。

 きょう18日に予定されている衆院本会議の採決に、自民党衆院議員総会長の船田元氏が「納得できない」として欠席を表明するなど、身内からも異論が出ている。

 6増によって年間約4億2千万円もの経費が生じるといい、地方議会などで努力が進む定数削減の流れにも逆行する。

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 「1票の格差是正」は進めなければならないが、定数を増やさず、どう改革するかが問われていたのではないか。しかも比例代表の4増には合理的理由がない。

 自民党は、日本維新の会が提出した「定数24減」案や、国民民主、立憲民主党などの「2増2減」案を一顧だにしなかった。

 本来なら各党の案を時間をかけて審議し、秋の臨時国会で抜本的な改革案を成立させるべきだった。

 参院選挙制度を巡っては、2013年参院選で1票の格差を「違憲状態」と判断した最高裁判決を踏まえ、15年に公選法が改正された。その改正法の付則に来夏の参院選までに「抜本的見直しについて必ず結論を得る」ことが明記されたのだ。

 結局、将来の参院のあるべき姿、その使命や役割についての議論を放棄したのである。

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 先月末、与党は働き方改革関連法を、労働者側の強い反対を押し切り成立させた。公選法改正案に続き、カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案の成立も目指している。

 いずれも世論からはかけ離れた政策で、今回の6増案についても共同通信が実施した調査で、賛成は2割を切り、反対が約6割に上った。

 このまま国会審議を軽視し、数の力で押し切ろうとするのなら、議会制民主主義は壊れる。

 抜本的見直しという宿題に背を向けたまま、拙速な本会議採決に反対する。