ビタミンDのサプリメントを摂取することによって、かぜやインフルエンザが予防できるという興味深い研究結果が、昨年、英国の有名な医学雑誌であるブリティッシュ・メディカル・ジャーナルに掲載されました。これは、欧米や日本の研究者らが、1万1千人以上を対象にした25編の論文を総合的に検討した大規模な調査で得られた結論です。

いらすとや

 ビタミンDは、これまでは、カルシウムの吸収を助け、骨を丈夫にする作用がよく知られていました。ビタミンDは、イワシなどの魚介類、レバー、きのこ類や卵などの食物に多く含まれます。また、日光(紫外線)を浴びると体内で合成されることもわかっています。

 一方、日本人の約半数では、血液中のビタミンDの濃度が低下しているという調査結果があります。食べ物の偏りがある方、太陽光に当たらない生活をしている方、冬にかぜをひきやすい方、加齢によりビタミンDの産生が低下している方は、特に注意が必要だと思われます。

 近年、新たにビタミンDに免疫バランスを調節する作用があること、また、その作用によってさまざまな健康リスクを減少させる効能があることがわかってきました。この作用は、細胞性免疫と呼ばれる、さまざまな細胞を活性化することによる働きとされています。そのため、細胞性免疫と関わりが深い多くの病気に対して、ビタミンDの効果があることがわかってきました。

 例えば、ビタミンDの欠乏では肺結核になりやすいこと、ビタミンDの投与により気管支ぜんそくの悪化の予防、大腸がん・乳がんの予防、1型糖尿病や関節リウマチの予防ができること等が報告されています。さらに驚くべきことに、ビタミンDには、種類を問わず、すべての原因による死亡をも減少させる効果があるとの報告もあります。まさにビタミンDは万能薬かと期待される結果です。

 今後、さらに研究が進むことで、ビタミンDがさまざまな疾患の予防や治療に応用されることが期待されます。(久手堅憲史 くばがわメディカルクリニック)