バイオベンチャー企業、フルステム(那覇市、千葉俊明社長)は、同社が開発した「次世代型大量培養装置」を用いた再生医療の治療実証を、本年度から共同事業体を組む南部徳洲会病院などで開始する。

次世代型大量培養装置を用いた治療実証を始める(右から)フルステムの千葉俊明社長と南部徳洲会病院の赤崎満院長、同病院の向山秀樹医師、そばじまクリニックの岩畔英樹医師、南部徳洲会病院の滝吉優子医師=18日、県庁

 千葉社長らが18日、沖縄県庁で記者会見した。南部徳洲会病院では県内の高齢者に多い難治性の皮膚潰瘍と、前立腺がんの手術後に合併症として起こる尿失禁の2疾患を対象に、大阪府で再生医療を提供するそばじまクリニックでは変形性関節症の治療に活用する。

 千葉社長は「世界初の一度に10億個(10の9乗個)の細胞を自動培養できる装置を使うことで、これまで以上に安全で安価で大量に細胞培養することができ、多くの患者に治療を提供できる。沖縄発の技術を活用して、最先端の再生治療の世界への発信拠点になれたらと思う」とアピールした。南部徳洲会病院の赤崎満院長は「最先端の再生医療に参加できることを非常にうれしく思う。将来的に県民の医療に役立てたい」と期待を込めた。

 同装置は、培養皿の代わりに医療用の不織布を使用して培養するのが特徴。高密度で培養できるため、小規模な施設で1人で簡単に作業ができ、従来に比べ1~2割の費用で治療が可能になる。尿失禁の治療の場合、1立方センチの範囲の治療に最低1億個の細胞が必要という。従来の培養方法では1億個の培養が限界とされ、高コストで治療に適さなかったという。

 4年の事業期間で、初年度は3者による治験実施計画書の作成や厚生労働省への申請業務などを進める。2年目以降に皮膚潰瘍、変形性関節症、尿失禁の順で治療を開始する考え。各疾患とも5例の治療実績を目標とする。治療実証は県の先端医療産業開発拠点実用化事業の一環で本年度予算は8千万円。