物事が急速に上昇する「うなぎ上り」の語源は、一説には、どんな困難も乗り越えてウナギの稚魚が川を遡上する性質からくる。米ミシシッピ川を北上し、あのナイアガラの滝さえも登り切るというから、夏バテ防止に食するのもうなずける

▼そのウナギは今や絶滅危惧種。今月5日、ツイッターに「うなぎ絶滅キャンペーン」なる謎のアカウントが突如現れ、飲食店やデパートが売り出すウナギ商品を次々と宣伝している

▼「絶滅させるには、こうした企業様がなんら絶滅の心配がないかのように販売していただくことがとても効果的です」。アカウント作成者はこう書き込む

▼わずか2週間でフォロワーは1万4千人超。開設の真意は明かしていないが、強烈な皮肉を込めて、世の風潮を問うているように思える

▼最近は、魚のすり身などを使って本物そっくりに再現する「ウナギもどき」に注目が集まる。自宅で取り寄せてみると、口に入れた瞬間は感激したが、やはり食感の差は歴然。それでも、事情を知らない4歳の息子はウナギと信じて疑わず「おいしい」と平らげた

▼きょうは土用丑の日。香ばしいかば焼きの誘惑は捨てがたいが、野放図な大量消費は時代にそぐわない。食の在り方を考える機運が“うなぎ上り”になれば、伝統を守り、種を絶やさぬ道が開けるはずだ。(西江昭吾)