ひとつ疑問を投げかけたら最後、三上監督は鼻から息を吸い込む。すると、彼女の膨大な知識が、鍛え抜かれた腹式呼吸を通じ、想像以上の情報量となって、怒涛(どとう)のように降り注ぐ。

「沖縄スパイ戦史」の一場面

 そんな三上監督の、原点回帰であり集大成とも言える最新作。大矢英代さんとの共同監督作「沖縄スパイ戦史」。終戦から70年以上経つも、いまだ闇に葬られ続けた真実に両監督は切り込んだ。

 米軍の銃弾に倒れた民間人の悲惨な物語が語り継がれる一方で、語ることさえはばかられる真実が存在したという。10代の少年たちで編成された護郷隊の役割と彼らの運命。米軍上陸前に、沖縄へ送り込まれた陸軍中野学校出身将校たちの任務と目的など。

 監督本人が「すべて初出しスクープ映像」と語る通り、知らなかった事実が、怒涛のように押し寄せてくる。(桜坂劇場・下地久美子)

 ◇21日から桜坂劇場で上映予定。