「踏ん張ります」。熊本県の地元紙熊本日日新聞に勤務する友人から短いメールが届いた。車中泊を余儀なくされたり、避難所から出勤する同僚もいるという

▼22日付の同紙1面コラム新生面は「筆を持つ手が重い。筆が進まないというより、重いのである」と書き始める。苦しい心境を吐露しながらも、ライフライン復旧の報にホッとするとし、「いっぱい泣いていい。そして、前を向こう」と結ぶ

▼14日夜以降、震度1以上の地震は800回を超えた。震災関連死とみられるケースも11人となった。相次ぐ地震が捜索や復旧作業を阻み、強雨が追い打ちをかけた。土砂災害の危険も続く

▼同紙は現在、1面や社会面などをホームページで公開している。22日付は避難生活で役に立つアイデアを特集。簡易トイレの作り方やエコノミークラス症候群予防法、段ボールを使った間仕切りなどを紹介した。災害時の生活情報は何にも代え難い

▼東日本大震災でも宮城、岩手、福島各県の地元紙が発行を続けた。石巻日日新聞は手書きの新聞をつくり、避難所に張り出した

▼震災報道で2011年の菊池寛賞を受賞した河北新報社の報道部長、武田真一さんは授賞式で「新聞はライフライン」と語った。熊本地震でも「私たちがやらなければ」という使命感に支えられた報道が各地で続いている。(与那原良彦)