【熊本県益城町で比嘉太一】「私は無事です」。熊本地震の前日、熊本県益城町の女性から沖縄県の浦添商業高校野球部員に手紙が送られていたことを知らせた沖縄タイムスの22日朝刊。差出人だった益城中学校1年の佐藤まいさん(13)は同日夜、「手紙の縁」が心をつないだ浦商ナインの記事を目にし、「うれしくて涙が出そう。家族みんな無事です」と電話で感謝を伝えた。

浦添商業高校野球部の新聞記事を見て「うれしすぎる。ありがとう」と喜ぶ佐藤まいさん(右)と妹のれなさん=22日、熊本県益城町

被災地の佐藤まいさんへテレビ電話でエールを送る浦添商業高校野球部員=22日午後、同校

浦添商業高校野球部の新聞記事を見て「うれしすぎる。ありがとう」と喜ぶ佐藤まいさん(右)と妹のれなさん=22日、熊本県益城町 被災地の佐藤まいさんへテレビ電話でエールを送る浦添商業高校野球部員=22日午後、同校

 まいさんは先月、単身赴任で沖縄にいる父一男さんに会うため来沖。大好きな高校野球の大会があると知り、母めぐみさん(42)、妹れなさん(10)と沖縄セルラースタジアム那覇を訪れた。チケット販売所が分からずに右往左往していたところを、同校部員に声を掛けられた。忙しい中、脱帽し、丁寧な説明をしてくれた部員の対応に感動。熊本に帰って手紙を書いた。

 その翌日、震度7の地震が発生。まいさん家族も2日間の避難生活を送った。「タンスやピアノが倒れて怖かった」。今も余震に不安を抱え、昼間は家の後片付けを手伝っている。

 22日、熊本で取材中の記者が宛先になっていた自宅を訪ねると、まいさんは笑顔で記事に目を通した。

 その後、同校部員とテレビ電話で再会。「本当にありがとうございます。震災からの疲れがぶっ飛びました。お守りを付けて熊本から応援しています」とニッコリ。

 母めぐみさんは「まいの手紙がこんな形で返ってくるとは思いもしなかった。元気をもらった」と感謝した。

■浦添商業野球部員、テレビ電話で「ちばりよー」

 「一緒に一つになって闘いましょう」。浦添商業高校野球部員は、テレビ電話の画面に映る佐藤まいさんら家族に向け、力を込めた。練習後、宮良高雅監督(47)からまいさんの無事を聞いた部員たち。連絡を取るすべもなく、心配を募らせる中、届いたうれしい知らせに全員が拍手で喜んだ。

 久高将真主将(17)が持つ電話がつながると、後ろに並んだ部員たちは歓声を上げ一斉に笑顔になった。「佐藤さん元気ですか?」「手紙ありがとうございました」。興奮気味の声があちこちから飛ぶ。球場で案内した野原紅弥選手(16)は電話を受け取ると少し緊張した様子。「無事でよかったです」と帽子を取って頭を下げた。

 「元気が出たと言ってくれてよかった」と久高主将。「夏は必ず甲子園に行くので活躍する姿を見てほしい」。遠く離れた被災地へ「ちばりよー」と拳を上げ、エールを送った。