10階建てのマンションの外壁数十カ所に1メートル程のひび割れができた。「もう住めないかも」。熊本市に住むシンガー・ソングライターの宮里新一さん(60)=宜野湾市出身=は、熊本地震でマンションの壁に亀裂が走り、避難生活を強いられている。

マンションのひび割れを差しながら「恐ろしい地震だった」と語る宮里さん=21日、熊本市

部屋の中もめちゃくちゃに。「死んでいたかも」と振り返る宮里さん=21日、熊本市

マンションのひび割れを差しながら「恐ろしい地震だった」と語る宮里さん=21日、熊本市 部屋の中もめちゃくちゃに。「死んでいたかも」と振り返る宮里さん=21日、熊本市

 14日夜。友人の音楽ライブを楽しみ、ライブハウスを出ようとした時、震度7の地震が襲った。突然、ガタガタと地面が揺れ出し、棚にあったテレビモニターが落下した。「尋常ではない」。妻直子さんに電話してもつながらない。無料通信アプリ「スカイプ」を使い、やっと安否を確認した。

 さらに16日未明に発生した本震。ダイニングテーブルの椅子に座った瞬間、地鳴りのような音が響き、横揺れの激しさで2~3メートル離れたテレビ台の方へ飛ばされた。

 揺れが収まり、気がつくと液晶テレビと電子ピアノが倒れていた。自身の顔との距離はたった数センチ。「倒れた場所が悪かったら、死んでいたかもしれない。言葉にできない怖さだった」と唇を震わせた。

 小学3年でハンセン病に感染し、名護市の沖縄愛楽園で3年3カ月の療養生活を送った。19歳の時に再発したが現在は回復し、熊本県内を拠点に全国各地の小学生にハンセン病の啓発活動を積極的に行っている。

 地震から9日。マンション共有スペースで避難生活を強いられているが、50世帯の住人が炊き出しや水くみなど、協力し合っているという。

 宮里さんは「震災前まで、同じ建物に住んでいても顔も名前も知らなかった」と苦笑し「日頃から地域住民とのコミュニケーションは大切。そして大きな被害を出さないためにも、防災意識を高めること。今回の地震で一番学んだことだ」と話した。(中部報道部・比嘉太一)