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  • 保育園建設が中止や延期に追い込まれるケースが相次いでいる
  • 那覇市では騒音対策や活動内容の発信に取り組む保育園がある
  • 園長「見守ってもらう環境をつくるには、説明や情報開示が大切」

 「子どもの声がうるさい」「送迎の車両で渋滞が起きる」などと近隣住民が反対し、保育園建設が中止や延期に追い込まれるケースが県内外で相次いでいる。保育園に入所できない待機児童の解消には保育園建設が必要で、どう地域住民の理解を得るかが鍵になる。那覇市首里石嶺町の住宅密集地に建つ認可保育園、みどり保育園(石川キヨ子園長)の地域と共存するための工夫を取材した。(学芸部・高崎園子)

隣家に接近する場所にはトイレなどを配置している。石川キヨ子園長(左)と園児=那覇市首里石嶺町・みどり保育園

住宅密集地の中にある保育園

隣家に接近する場所にはトイレなどを配置している。石川キヨ子園長(左)と園児=那覇市首里石嶺町・みどり保育園 住宅密集地の中にある保育園

 「子どもは宇宙人であり怪獣で、奇声を発したり、絶叫したりする。特に声が束になるととてもうるさい。『子どもの声だから許容されて当たり前』ではなく、園側は常に、近隣の方に迷惑を掛けているという意識を持たなければならない」

 園長の石川さんはそう話す。

 1972年に開園。改築して、2014年12月に新園舎が完成した。開園当時、周辺は空き地が目立ったが住宅が徐々に増え、現在は住宅密集地の中にある。隣家と65センチしか離れていない箇所もある。園は2階建てで、園庭を含む1029平方メートルの敷地で0~5歳まで140人の子どもたちが日中を過ごす。

 園がまず取っているのが騒音対策だ。改築の際、隣家との境界部分には、1度の利用が小人数に限られるトイレや、保育士の部屋を配置したり、2階のベランダにアルミ製の高い塀を造ったりするなど、建物の構造上の騒音対策を講じた。

 子どもたちが遊び回る園庭には、ガジュマルのほかに、隣家と接する側にカエデなどの木々を植えている。子どもの遊び場の確保や景観上の理由のほかに「音が葉っぱの間を通るので、騒音が多少、軽減されるのではないか」という考えがあった。

 園児には、大きな声を出したときに「ちゃんと聞こえているからもう少し小さい声で話そうね」「赤ちゃんが起きるよ」「おばあちゃんが眠れないよ」などと説明している。

 次に渋滞対策。園の前の私道は道幅が4メートル足らずで、車が2台すれ違うのは難しい。園児の安全面からも問題があった。

 そこで5台収容の園の駐車場は朝夕の混雑時に30分ずつ、車両の乗り入れを禁止した。150メートル離れた民間駐車場に13台分を確保して、保護者にはそこから徒歩での送り迎えをお願いしている。

 そうしたハード面の工夫以上に大切なのが、情報発信や日ごろの交流など、ソフト面の工夫だと、石川さんは強調する。

 職員は、園の出入り時などに誰と会ってもあいさつすることを習慣づけている。園に併設する地域子育て支援センターのニュースレターを毎月、近隣の1500世帯に配布し、行事日程や活動内容を発信する。

 園で開く音楽会などにも住民を招待。祝祭日は地域に駐車場を開放している。改築工事の際には、石川さん自身が近隣を回って、あいさつ状を手渡し、ニュースレターで工事の進捗(しんちょく)を知らせた。

 「地域の方に子どもたちを見守ってもらう環境をつくるためには、園側の説明や情報開示が大切になる」と石川さん。

 園庭に隣接する家に住む80歳の女性は「園の人たちとは日ごろから、気軽にお付き合いさせてもらっている。子どもたちの声が気にならないのは、顔の見える関係だからかもしれないですね」と話していた。