開幕が迫る第1回沖縄空手国際大会の小旗が目抜き通りに連なり、風に揺れる。ここは東京・新宿の繁華街

▼1日360万人超が乗降するギネス認定の巨大ターミナル駅前は、沖縄と浅からぬ縁で知られる。今年で17回目を数える新宿エイサーまつりは、フルーツパーラーで有名な新宿高野の先代社長が誘致に力を注いだ

▼構想が持ち上がった2001年は44人が犠牲になった歌舞伎町の雑居ビル火災があり、客足が懸念されていた頃。「新宿は危うい街」という悪評を一掃しようと白羽の矢が立ったのがエイサーだった

▼両側に高いビルが林立する新宿通りは太鼓の音がこだまし、勇壮な舞との相乗効果で独特の空間を生み出す。音は約1キロ離れた新宿御苑まで響き、防音が施されているであろう紀伊國屋ホールが「落語の公演中なので勘弁して」と泣きを入れたこともあるとか

▼先代を継ぐ高野吉太郎社長は「本場沖縄でも味わえない迫力。もっと世界的なイベントにして、沖縄をアピールしたい」と語る。パーラーの従業員は全員かりゆしウエアに身を包み、琉球民謡のBGMを聞きながら美味を堪能できる。果物の商品棚の真ん中に鎮座するのは県産完熟マンゴーだ

▼新宿の街はあす、100万人以上がエイサーの演舞に視線を注ぐ。大都会で息づく沖縄愛がまつりを支えている。(西江昭吾)