日本で私が何の不安もなくスクスク成長していた頃、お隣韓国は波乱の渦中だった。
 1980年韓国。タクシー運転手・マンソプは学生デモにイライラしていた。デモのニュースが流れれば、「親のすねかじりのくせに!」とテレビに罵声を浴びせ、少なすぎる自らの稼ぎを社会情勢のせいにしては文句タラタラ。

「タクシー運転手 約束は海を越えて」

 そんなごく普通の一般庶民が偶然の連続で、韓国現代史上、最大の悲劇「光州事件」に関わることになる。

 彼はただ客を乗せ、光州-ソウル間を往復するという、ごく普通の仕事を請け負っただけ。しかし、普通の仕事をすることさえ許されない時代だった。公にされてこなかった韓国の闇に、韓国人自らがメスを入れた気迫の一本。

 韓国国民が大量の血を流して勝ち取った民主主義の重みは我々日本とは、似て非なるものなのかもしれない。(桜坂劇場・下地久美子)

 同劇場であすから上映予定