待ち合わせの喫茶店に姿をみせると、客や店員らの視線を一斉に集めた。183センチの長身に、彫りの深いエキゾチックな顔立ち。Vネックの白シャツに黒ジャケット。肩に届く長髪がのぞくハットを軽くつかんで頬を緩める。悔しいがすべてが様になる。

東京を拠点に役者活動をしながらも沖縄への思いを語る俳優の尚玄さん=東京・三軒茶屋

 「常に新しいことに挑戦できるのが楽しい」と役者の魅力を語る。最近はギターの練習に余念がない。流しのギタリスト役の撮影が控えているためだ。まだ企画段階の映画を見据えてボクシングも始める。「準備することが大事」と役作りへの姿勢は貪欲だ。

 東京の大学に通いながらモデルに。卒業後は欧州で放浪の旅をしながらパリやミラノでも仕事をこなした。「幼い頃からの夢だった」という役者は2007年、戦後のコザを舞台にした「ハブと拳骨」で主演デビューした。

 学生時代の米国留学や30歳で渡米し、ニューヨークやロサンゼルスでの武者修行で培った演技力を武器に、国内外の映画やテレビドラマなどに数多く出演してきた。

 出演依頼の3分の1は海外作品。全編英語の作品へのオファーも多い。昨年は沖縄を舞台にしたシンガポールのテレビドラマ「LEQUIO」に主演。アジアを中心に海外への沖縄の魅力発信にも一役買う。

 「世界での経験を生かして、沖縄のために役立つ仕事ができているのは光栄。まさにやりたかったことが実現できている」

 将来は監督として作品を手掛けるのが夢。「機が熟する時」に備え、沖縄を題材にいくつかの脚本もしたためている。ウチナーンチュとしてのアイデンティティーは強い。「沖縄の歴史や文化を踏まえて社会問題も取り上げたい」。新たな挑戦への準備に余念がない。(東京報道部・石川亮太)

 しょうげん(本名・糸数尚玄) 1978年那覇市生まれ。那覇高校卒業後、東京の大学に通いながらモデルに。2007年の映画「ハブと拳骨」で主演デビュー。昨年は映画4本、ドラマ4本に出演。撮影のない日は学生時代から続けるバスケットボールを楽しんだり、読書や映画鑑賞で英気を養う。