熊本への思いが、ショットに乗り移ったかのようなプレーが続く。熊本地震で中断した女子ゴルフツアーは22日に再開され、熊本県出身の全5選手が決勝ラウンドまで戦い抜いた。決意の強さ、集中力のすごみがテレビ越しにも伝わった

 ▼初日から2日間、首位を走った笠りつ子選手(28)。家族は今、テントや車中で避難生活を送る。「ゴルフをやって義援金を納めるのが役目」と最後まで優勝争いに絡み、大声援を浴びて1打差2位に入った

 ▼逆転優勝した宮崎県出身の大山志保選手(38)にとって、高校など7年間を過ごした熊本は第二の故郷。賞金1440万円を被災地に全額寄付した

 ▼一方、「一身上の都合」で欠場を選んだ人もいる。青山加織選手(30)は、全国のファンから届けられる物資を軽トラックに積んで自ら運転。避難所に指定されていない施設に配った。「いまの自分がすることはゴルフじゃない。(中略)自分に届く物資を生かすこと」(21日付東京新聞朝刊)との信念からだ

 ▼実家が被災し、悩む上田桃子選手(29)に、郷里の先輩で元賞金女王の古閑美保さん(33)はこう諭した。「出るなら中途半端はするな。熊本に中途半端な女はおらんけんね」

 ▼プロ選手が悩んだ末に戦う場所を選び、全力を尽くしている。その姿に、私たちは「できることをしなきゃ」との思いを一層強くする。(磯野直)