熊本市北区に住む小禄光男さん(71)=宮古島市・池間島出身=は熊本地震発生直後から車中生活を強いられている。「エコノミークラス症候群を発症するかもしれない」。長時間の同じ体勢で足にしびれをきたし、右肩の痛みに耐えながら避難生活を送っている。(中部報道部・比嘉太一)

熊本地震で家の屋根瓦が壊れ車中での生活を強いられている小禄光男さん=22日、熊本市北区

 14日夜、震度7の地震。小禄さんは2階で寝ていた。突然、ぐらつく床。「ガタガタ」と鳴り響く音に驚き、跳び起きた。避難しようと階段を下る際、肩から落ちて右肩を痛めた。

 「あまりにも必死。転んだ瞬間を覚えていない。思い出すだけでも怖い」と顔をこわばらせる。

 16日の本震。最初の揺れを経験したこともあり、水や食糧を入れていたバッグを準備。家族3人で1階で寝ている時だった。地面が割れるような音。最初の揺れの何倍も地面が動いているように感じた。揺れが収まりすぐに家を飛び出した。築40年の家の屋根瓦や壁タイルのほとんどが剥がれ落ちた。ただ、ぼうぜんと立ち尽くして見ているだけだった。

 約20年、熊本で沖縄の魅力を伝える美ら島大使や火の国泡盛の会会長を務めている小禄さん。家の押し入れには数えきれないほどの泡盛の瓶や古酒のかめ。家の至る所にシーサーが置かれている。熊本に来て45年。故郷沖縄のことを一度も忘れたことがないという。「あの地震で皿は割れたけど、泡盛は全部無事だった。シーサーが守ってくれたのかも」と笑う。

 震災から11日。続く余震におびえながら「早く普通の生活に戻りたい。今はただそれを願うだけです」と疲れた表情をにじませた。