県漁連が約20年間停滞していた泊魚市場の糸満漁港移転の実現に向けかじを切った。老朽化した泊魚市場の衛生環境の改善は待ったなしの状況の上、糸満での施設整備にかかる予算について次年度の概算要求に間に合わせるため、反対意見を押し切る形となった。一方、反対する那覇地区漁協などは、泊での市場維持に向けて独自路線を模索する意向だ。分裂すれば、糸満でも市場整備や運営ができなくなる恐れもある。
 移転計画は1997年に浮上。那覇地区の生産者らは、消費地の那覇近郊から離れ、輸送に不便などとして当初から反対してきた。県漁連の2016年度の総会では移転を見据えた施設整備について承認したが、移転の議論が尽くされてないなどと反発が起き、頓挫した経緯がある。
 ただ、泊魚市場は衛生環境に難点があり狭さも指摘されている。県漁連は糸満移転しかないとして、今回移転を前提とした決議に踏み切った。
 だが、移転の実現には課題もある。必要となる施設整備で国の補助事業を活用するには、関係者の合意形成や年間約8千トンの水揚げ量が必要となる。移転に反対している7団体の水揚げ量が約6割を占めており、分裂すれば補助事業採択の条件を満たせず、整備費確保が困難になる。
 一方、那覇地区漁協などは、泊での市場再整備を目指すが、具体的な計画はなく、行政からの支援の見通しも立っていない。
 県漁連は県に予算措置を求めていくが、今回の総会での分裂が決定的となれば、どちらの市場の整備・運営も立ちゆかなくなる危険性をはらんでおり、今後も波乱含みの展開が続くことが予想される。(政経部・川野百合子)

泊魚市場競り機能の糸満移転方針を説明する県漁連の上原会長(左)。那覇地区漁協の山内組合長(右)は反対している=26日、那覇市の水産会館