琉球大学大学院医学研究科薬理学の筒井正人教授らの研究グループは27日までに、心臓から肺に血液を送る肺動脈が狭くなり、血圧が上昇し右心不全をもたらす「肺高血圧」の原因に骨髄の一酸化窒素合成酵素が関与していることを突き止めた。

筒井正人教授

 肺高血圧の予後はがん全体と同等かそれよりも悪いが、発生要因が分かっていないため、治療法の開発が進んでいない。筒井教授は「研究成果を踏まえて、新しい治療法が開発されることが期待できる」と意義を話した。

 世界初の研究成果で、呼吸器分野で権威がある米国雑誌「呼吸器病学・救急医学」の7月15日号に掲載された。琉球大学のほか産業医科大学、長崎大学、東北大学との共同研究。

 研究チームは、特発性肺線維症患者の臨床研究の結果、肺動脈の収縮期圧が高まるほど、肺の一酸化窒素濃度が低くなる結果を得た。そこから、呼吸器疾患の肺高血圧患者は、肺の一酸化窒素生成が低下していると示す研究成果を得た。

 その上で、野生型マウスと、3種類の一酸化窒素合成酵素を欠損させたマウスを低酸素状態で肺高血圧を引き起こさせた場合、野生型に比べて欠損マウスの発生の方が顕著だった。

 また、放射線で骨髄を破壊した野生型マウスに、野生型マウスと欠損マウスの骨髄をそれぞれ移植すると、欠損型を移植した場合の方が肺高血圧が悪化した。

 逆に、骨髄を破壊した欠損マウスに、野生型マウスと欠損マウスの骨髄を移植すると、野生型を移植した場合の方が欠損マウスの肺高血圧が改善されるとの結果が得られた。

 筒井教授は「肺高血圧の仕組みの一端を解明することができた。本研究の結果は骨髄の一酸化窒素合成酵素が肺高血圧における重要な治療標的になることを示唆している。全く新しい治療法の開発に期待ができる」と話した。