地域が豊かにならないと、観光地としては長続きしない。観光と住民生活の調和も不可欠である。問題が深刻になる前に総合的な対策を打つべきだ。

 県文化観光スポーツ部が実施した、沖縄観光に関する県民意識調査の結果がまとまった。

 観光に特化した初の調査で浮き彫りになったのは、観光の重要性と県民生活の豊かさとの間に横たわる「距離」である。

 沖縄の発展に観光が重要な役割を果たしているかと尋ねたところ、「とても思う」「やや思う」が合わせて86・4%に上った。一方、観光が発展すると自分の生活も豊かになるかについては、「とても思う」「やや思う」は計29・1%と低かった。

 豊かさにつながらないとの考えは就業意向からも読み取れる。将来、観光産業で働いてみたいかとの問いに、「働きたい」「やや働きたい」と答えたのが16・4%にとどまったからだ。

 2017年版県統計年鑑によると「宿泊業・飲食サービス業」の平均現金給与は月額約14万9千円。全産業より10万円も低い。

 観光客の増加に伴い17年度の観光収入は6979億円を超え、5年連続で過去最高を更新した。

 これだけ好調なのに、県民がその効果を実感できないのはなぜなのか。観光産業を支える人の給与が低いままではサービスにも影響が出るのではないか。

 県にはこの「距離」の背景を詳細に分析してもらいたい。

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 意識調査では観光客に対し困っていることとして、「マナー違反」「レンタカーによる事故」「ポイ捨てゴミの増加」「道路の渋滞」などが挙げられた。

 経済的効果を感じられないまま負担だけが増え、不満を募らせているとしたら、相互理解も遠のく。

 外国人観光客の急増による生活環境の悪化は全国的にも大きな問題になっており、「観光公害」という言葉がささやかれ始めている。

 確かに「レジに並ばない」「喫煙所ではないところでたばこを吸う」などはマナー違反にあたるが、文化や習慣の違いからくるトラブルともいえる。

 訪日前に日本のマナーを伝える地道な努力、観光地や商業施設での外国語案内の充実など、摩擦をなくすための工夫や対策はまだまだあるはずだ。

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 復帰の年、60万人に届かなかった観光客は、17年度には約958万人に達した。この間、旅のスタイルは団体から個人・グループへとシフトし、民泊利用や街歩きなど地域住民と触れ合う機会も増えている。

 観光は言うまでもなく沖縄のリーディング産業だ。それだけに地域を豊かにするという視点が欠かせない。

 目指すべきは「住んでよし、訪れてよし」の取り組みである。

 県民が困っているとして挙げた一つ一つの声を施策につなげてもらいたい。