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[大弦小弦]アマゾンの森深く、その男性は独り、暮らしている…

2018年7月30日 07:27

 アマゾンの森深く、その男性は独り、暮らしている。推定50代。動物を狩り、パパイアやトウモロコシを育てる。同じ種族の仲間は森を狙う林業者や農業者に次々殺され、1995年に最後の1人になった。「世界で最も孤独な人物」とも呼ばれる

▼ブラジル政府の先住民保護機関が過去に何度も接触を試みた。おのやマッチ、作物の種を置いてきたこともあるが、拒絶された。過去の仕打ちを考えればよく理解できる

▼保護機関はそこで、望まれない接触をすっぱり諦めた。居住地周辺への一般人の立ち入りを禁止し、保護区を設定。遠くから見守ることにして、今月その成果であるビデオを公開した。たくましい男性がおので木を切り倒している

▼ビデオを撮ったのは2011年。7年後の公開には「政治的な意味」もあるという。ブラジルでは、先住民保護政策が企業や極右政治家によって攻撃されている。保護機関は男性の生存を証明する必要があった

▼どちらにしても、男性にとっては迷惑な話かもしれない。その目に、私たちの社会はどう映るだろう。工業化、物欲、群れる習性、その結果起きる戦争…

▼男性について分かることは少ない。平和に暮らす権利を侵してまで知るべきでもない。ただ、その存在自体に、胸が高鳴る。その姿が、人も生き方も多様だ、と教えている。(阿部岳)

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