過去の不祥事を受けて、あしき企業体質を改めたはずではなかったのか。コンプライアンス(法令順守)意識のあまりの低さにがくぜんとさせられる。

 三菱自動車による燃費データの改ざん問題のことである。

 同社が軽自動車4車種の燃費試験のデータを不正操作し、その際、多数の偽装工作をしていたことが国土交通省の調べで分かった。複雑な計算式で数値を変換したり、走行試験をしていない車種の数値も独自の算定方法で捏造(ねつぞう)したりするなどしていたという。

 無理に設定した燃費目標を達成したように装うのが目的だったとみられる。

 同社は2013年度以降、燃費試験のデータに意図的に手を加え、性能を実際より5~10%程度良く見せる不正行為をしていたと20日に公表した。対象台数は計62万5千台に上り、生産・販売は停止された。

 燃費性能は消費者の車選びの重要なポイントであり、各メーカーが技術開発にしのぎを削る。今回不正が発覚した一部の車種では、社内の燃費の目標が5回にわたり引き上げられたことも明らかになり、同社幹部は「目標にプレッシャーを感じて(改ざんに)走った」可能性を指摘した。

 ただ、社内のどのレベルが不正に関与していたのかなど不明な点は残る。同社は弁護士による特別調査委員会を設置した。消費者への裏切り行為である不正の背景に何があるのか、全容を明らかにしてもらいたい。

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 三菱自動車の不祥事はこれまでも繰り返された。リコール(無料の回収・修理)につながる顧客のクレーム情報を隠し、不具合をひそかに修理していたことが00年に発覚した。04年には別のリコール隠しが表面化し、隠蔽(いんぺい)体質に批判が集まった。経営危機に陥り、三菱グループの支援を受けた経緯がある。

 今回の問題が表面化したのも、軽自動車の供給を受けていた日産自動車の指摘が発端だった。自浄作用は働かなかったということなのか。

 三菱自動車が1991年から約25年間にわたり、法令と異なる不正な試験方法で燃費データを計測していたことも明らかになっている。

 他社との競争を勝ち抜くためには法令無視もいとわない。こうした企業体質は変わっていない、と言わざるを得ない。

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 三菱自動車は燃費データ改ざん公表後、国内の1日当たりの受注台数が半減した。株価は公表前の半値以下まで下落した。問題の車種がエコカー減税の対象から外れるなどして所有者に負担が生じる場合、同社が穴埋めするとしており、業績への打撃は避けられない。相川哲郎社長も認めたように「会社の存続に関わる」事態だ。

 主力工場の水島製作所(岡山県倉敷市)では軽自動車生産に携わっていた従業員約1300人が自宅待機となっている。取引先の中小企業や全国の販売店も影響は深刻だ。

 企業倫理の低下が招いた不信感の払拭(ふっしょく)は容易ではない。