宮古島の紺碧(こんぺき)の海にかかる伊良部大橋で有名な伊良部島。その伊良部島の幅広い魅力を語り尽くすRBCiラジオのコーナー「伊良部ラジオ」が人気を博している。伊良部島出身のアナウンサー、嘉(よしみ)大雅さん(25)と、祖父母が同島佐良浜出身のパーソナリティー、ナガハマヒロキさん(31)が、飾らない島の人々やカツオやマグロなど名産を紹介。いらうふつ(伊良部言葉)を交え、ディープな島の話題を伝えている。(特報・新崎哲史)

「伊良部のいきいきした情報を伝えたい」と話す琉球放送ラジオのMC嘉大雅さん(右)とナガハマヒロキさん=那覇市久茂地・琉球放送

二人が目標としてスタジオに掲げるポスター

「伊良部のいきいきした情報を伝えたい」と話す琉球放送ラジオのMC嘉大雅さん(右)とナガハマヒロキさん=那覇市久茂地・琉球放送 二人が目標としてスタジオに掲げるポスター

 「今日も大雅みたいなじゃうにさい(好青年)と話せてうれしいさ」

 「じゃうにさいって響きが好青年ぽくない。東南アジアの野菜みたい」

 「ジャウニサイイリチー。あくが強くて、XOジャンで炒めるとおいしい(笑)」

 RBCiラジオで毎週土曜日放送中の「嘉大雅のサタデーマグネット」。午後1時になると「伊良部トーガニー」が流れ、2人の伊良部トークが始まる。時間は約20分だ。

 伊良部島といっても、北側の佐良浜地区は漁師が多く、南側は農業地帯で、文化や言葉も異なる。そんな島の魅力を祭りや生活習慣を通し、親しみやすく紹介する。

 カツオのぶつ切りを見物人に放り投げて振る舞う佐良浜の風習や、ピンク色の玄米飲料、郷友会運動会の目玉競技「草履飛ばし」…。伊良部にまつわる情報を、島のゲストと電話で対話しながら、熱く伝える。

 7月7日の放送では「第25回鳴りとぅゆんみゃ~く方言大会」で優勝した佐良浜地区の下地政吉さん(56)が出演。下地さんは佐良浜地区では、ありがとうを「すでぃがふー」と言うと解説。「宮古島でありがとうの意味で使われる『たんでぃがーたんでぃ』は佐良浜では謝る時に使う。『たんでぃがーたんでぃ ゆるしふぃーる』は、頼むから許してちょうだい、になる」と、豊富な事例とともに解説した。

 「まずは親が島の言葉を話す。自然と子どもも分かるようになる」としまくとぅばの継承を呼び掛けた。

打ち合わせなし

 伊良部ラジオは、2017年4月の番組開始から始まった。発案したのは嘉さん。「数回で終わるかな」と思っていたが、打ち合わせなしのゲストとのはじけたトークがうけ、今では人気のコーナーとして定着した。

 ナガハマさんは、ゲストが「スタジオの質問に答えず、話し続けたり、話題の核心にたどり着かないこともある」と話す。方向をつけず、「島の空気感」に沿って、伝えたいという。

 「以前は、しまくとぅばやなまりが恥ずかしいと言われた。今は『ローカルがかっこいい』に変わった」と人気の背景を考える。

 ラジオでは「あがんにゃ(驚いた時の感嘆詞)」「あぱらぎみどぅん(きれいな女性)」など時折、島くとぅばも飛び出すが、嘉さんは「聞けるが話せない世代」。だが、思わず伊良部なまりで話すことも。ナガハマさんは「引き出せたときは『やった!』と思う」と笑う。

 島に住む若者は減り、話者は減っていく。15年の伊良部大橋開通で観光客が激増し、海岸沿いの土地はホテルの建設ラッシュが続くという。

 嘉さんは「島の中でも守れるものと守れないものがある。風景が変わるのは寂しいが、伊良部らしい風習や言葉、祭りは守るべきもの。微力だがラジオで魅力を伝えていきたい」と力を込める。

 スタジオの壁には自筆で「伊良部島で公開生放送」と張り紙を掲げる。二人は「島の人の期待も高まっている。絶対に実現させたい」と意気込む。