「素通り観光」が多いのは市の魅力を伝え切れていないからだ-と分析する糸満市は4月、2025年度まで10年間の市観光振興基本計画をスタートさせた。市商工観光課は「沖縄戦終焉(しゅうえん)の地で平和学習ニーズは必要だが頼り過ぎてきた面もある。豊かな自然や旧暦文化などの魅力発信を強める」と意気込む。

糸満ハーレー(2015年)

 基本計画によると、アンケートで市を訪れる観光客の72%が滞在半日以下と素通り状態で、滞在型観光になっていない。また市について知る情報の1位が平和祈念資料館などの平和継承施設の51・5%と過半数で観光ニーズが偏る現状が浮かぶ。

 基本計画では、全国唯一の沖縄戦跡国定公園が市域の大半を占めるため開発を免れた豊かな「自然」や琉球王府統一前の南山王国時代など「歴史」の体験、「農地観光」「平和祈念」が一緒に楽しめるエリアと考える。集落を屋根のないミュージアムに見立てて住民らが案内する「米須村丸ごと生活博物館」などをモデルに、点在する見どころを地元ガイドが結んで周遊につなぐ構想だ。

 市商工観光課は「糸満ハーレーをはじめ、人気行事と地域巡りを合わせて売り出すなど滞在型観光を広めたい」と話した。10月に第6回世界のウチナーンチュ大会がある本年度は6カ国語でPR動画を作り、海外客の呼び込みを進める。大型MICE建設を見越した受け皿整備や本島南部の広域連携も模索する。

 基本計画は昨年度、市が約1200万円で策定。国の一括交付金による8割補助を受けた。