1947年、蒋介石の国民党政権が住民を武力弾圧した台湾2・28事件。犠牲となった青山惠先(えさき)さん=当時(38)=の損害賠償訴訟で、勝訴した遺族の報告を兼ねたシンポジウムが開かれた

 ▼2万人以上の死者が出た事件に巻き込まれ、死亡したとされる県出身者は4人。青山さん以外の3遺族も夏をめどに提訴する

 ▼当事者4人の子どもたちが高齢化する中、孫やひ孫らにも思いが受け継がれ、裁判などの支援に関わっている。これまで何度か台湾を訪問。追悼式に参加し、祖父や曾祖父が犠牲になったとされる基隆市の和平島も訪ねた

 ▼青山さんの孫、安座間奈緒さん(39)は祖母から祖父の話を聞かされた。「結婚生活は3カ月くらいだと言っていた。沖縄ではほとんど知られていない事件だが、歴史の一つ。伝えていきたい」

 ▼犠牲者の一人、仲嵩實さん=当時(29)=の孫、當間ちえみさん(59)も「ひどい殺され方だったと知った。絶対に許せないという気持ち」、ひ孫の仲嵩空由(そらゆき)さん(18)は「曾祖父は家族の一人。裁判にできるだけ協力したい」と語った

 ▼写真で顔を知るだけで、会ったこともなく一緒に生活したこともない祖父や曾祖父。裁判にかかわる理由を「血のつながり」と口をそろえる。事件の風化が懸念されているが、次世代への継承は着実に進んでいる。(玉寄興也)