厳しい暑さの中、皆さまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

イラスト:いらすとや

 数十年前までは、学校の空調はほぼ皆無で下敷きであおぎながら授業を受けたものです。それに比して現代は、多くの学校・オフィスで空調設備は完備され、またアパレルメーカーの技術開発で衣類の保温・放熱機能が向上しています。地球温暖化の影響で年平均気温が徐々に上昇しているとはいえ、生活環境は飛躍的に改善したといえるでしょう。

 皆さまの中にも、汗をかくことを意識せずに生活している方も多いことと思います。しかし、われわれ皮膚科医は、患者さんが意識せずとも、汗の刺激により発症・増悪する皮膚トラブルに頻繁に遭遇しています。

 代表的なのは汗疹(かんしん)(いわゆるアセモ)です。特に発汗量が多い小児・汗かきの成人で衣類を着ていて通気性の悪い体幹等にかゆみを伴う発赤(はっせき)として出現します。また肘・膝の裏、首回り、下着の締め付け部位にも同様の症状がみられることがあります。一般的にアトピー性皮膚炎または乾皮症(乾燥肌)の方に目立つ傾向があり、発汗や服がこすれることによる接触皮膚炎(かぶれ)が原因と言われています。

 単なる汗疹だけなら市販薬でも対応できますが、皮膚の乾燥等が基盤にある場合には、たとえ湿度の高い夏場でも、乾皮症と汗による炎症、両方に対する医学的なケアや再発予防のための生活習慣上の指導が必要になります。

 汗による皮膚トラブル全般の対策としては、自然に乾くのを待つよりこまめにふき取る、あるいはシャワーで流すことが重要です。また汗疹と似た疾患で真菌(カビ)が関連するものには抗真菌薬を処方することもあります。

 このように汗は夏場、われわれを悩ます要因の一つですが、本来、発汗は体温調節のためなくてはならない生理機能です。患者さんにすれば「汗かきのかゆみのようなありふれたことで受診してよいのかしら?」と気後れしがちですが、遠慮なく皮膚科を受診し快適に暑い夏を乗り切りましょう。(嘉陽宗亨 嘉陽皮膚科)